屋久島生活の断片・偏見ご免のたわごと編
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No.110 屋久島(62):なさけないこと(1) H15.01.13)

昨年東大寺でNHKが大晦日の恒例の鐘つき中継準備中に国宝の鐘楼に照明固定用の釘を9本とか打ち付けてしまった、けしからんことをしたというはなしがTVワイドショーであった。女性のコメンテイターが「事情がどうのこうのというよりもそもそも人としておかしい、人の家に入り込んで勝手に壁に釘を打つのと変わりないということが分からないのかしら」と言ったが、キャスターは「若い人が仕事に熱心のあまり急いでやったのだろう、この世界ではよくあるので分からないでもない」というようなことを言ってまとめてしまった。

私は女性コメンテイターの意見が耳に残った。キャスターには放送界の風土擁護でないもう少しましなコメントをしろと思うが、そのコメントのなかの「若い人が」というのは耳に残った。最近近隣で若い人が人のことお構いなしのようなことをしたと噂になっていて、その話を連想したからである。ある事業施設に何人か若い男女が手伝いをしている。朝早くからごみ捨てなどをしに来るのを見るから住み込みなのかもしれない。地元の人間には見えないからモラトリアム生活を楽しみに来ているのか、せざるを得ないのか、あるいは屋久島定住の足がかりなのか、そこはよく知らないが私が施設周辺の掃除などをしているのを見かけたかぎりではやさしい感じの人たちである。

その彼らが仕事の合間に休憩がてらか、周辺の留守の家の庭に入り込んで飲食し、ごみを散らかしてそのままということがあったらしい。その家の人はそれを知って彼らを雇っている施設に怒鳴り込んだということだが、私の聞くところ入り込んでいたのは一軒ではないようである。そうなると噂になる。

農道で車同士すれ違うとき普通は互いに横に寄りながら擦れ違うのだが一向にそういう気配なく突き進んでくるのでこわいとか、県道でこちらが進行方向左のごみステーションに車を寄せていくと相手の車が対向車線から道を横切り正面に突っ込んでくるのでこわいとか、気になっていたはなしが盛り上がってくる。さらには彼らが働いている施設へと話題が広がる。そこの犬も問題になっているらしい。放れたか放したかしたそこの犬が施設前の通学路で小学生を追い回したとか噛んだとか、散歩させていた犬を噛んだとか、クレームをつけても蛙の面に小便で、低学年生複数名送り迎えしているというはなしも盛り上がる。

車のはなしなどは運転に自信がないとか、道路の進行方向と反対向きに突っ込んでくるのはごみ収集車などもやっているからそれを見真似でやっているとかいうことかもしれない。しかし人の留守に庭に入り込んで狼藉ということを聞けば車のはなしも含めて、TVの女性コメンテイターの言っているようなことが近くでもあると思えてくるのである。やさしそうな外観を見れば性は善と信じさせるところがあるから屋久島へ来たということで、世間の目に疎くなったのかもしれない。あるいは犬のはなしから類推すれば周囲にそういう雰囲気があるのかもしれない。

ある日私がごみを捨てに行ったら男の車が反対車線から突っ込んできた。その翌日は女の子の車が突っ込んできた。私はそこで女の子のとき、車は左に寄せるように回して来いと怒鳴りつけた。侵入問題などあれやこれや耳に挟んでいたからそこのごみ捨て車だと知って過剰に反応してしまったのだが、情けないかな男ではけんかになると殴られるかもしれないからおとなしそうな女の子のとき怒鳴ったのである。いささか女の子を怒鳴ったことはうしろめたく後味が悪い。

No.190 屋久島(107):なさけないこと(2)  (H17.10.10)


 
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