屋久島生活の断片・偏見ご免のたわごと編
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No.139 屋久島(78):ある疑惑のこと H16.03.08)

先日屋久島のオンブズマンのページを見ていたら、上屋久町が平成10年から開設している動物診療センターの獣医師が犬などのペットの診療を町の経費で購入した設備や薬品類を使用して行いその診療報酬を町に収めず自分のものとしていた詐欺疑惑についての記事があった。私もここで犬を見てもらったことがあり、獣医師が故意に詐欺行為をするように思えない感じの誠実な対応をしてくれた印象があるので本当かと気になった。

動物診療センターは、畜産業の振興に寄与することをその目的として、牛や豚などの家畜の傷病の診断・治療と伝染病の予防など、動物の分野の公衆衛生業務を担当するものだそうだが、その本来業務をほとんどしていないということである。昨年度の収支明細によれば、過去1年間の家畜の「共済診療」(健康保険みたいな制度での診療)はたったの1件だけで、あとは「一般診療」が532件、そのうち家畜は31件だけとのことである。501件はペットの診療ということのようである。

これを見て公務員獣医師がペットばかり診てと非難するのは当たらない気がする。この件は町の責任であって獣医師の責任ではない。町内に本来業務の需要がないのは獣医師の責任ではない。私が思うに、町は何かの都合で何とか診療センターを開設したくて、本来業務の少ないことを承知していながら、ペット診療を条件として獣医師を採用したのではないかという気がしている。

私は費用が安いと言う評判を聞いてこの診療センターを利用する気になったのだが、そのときの認識としてはペット診療にも町が補助して利用を増やし施設の存続を図っているのだろうというものであった。上屋久町には動物病院がないから、住民の要望で便宜的な対応をしているのだろうという気がしていたのである。

獣医師への疑惑の内容は、診療売り上げが町の歳入に全額入っていないこと、消耗品費が多い割りに売り上げが少ないことから、診療代をピンハネし消耗品を横領したのではないかということのようである。

この件についても、私は町のカラクリがあるのではないかと思っている。薬品類は実費でよい、診療報酬は町と獣医師が例えば折半というような話で、本来業務が少なくても診療センターを開設したいがため、獣医師採用の条件にしたのではなかろうか。許される許されないは別にして、公務員獣医師業務と民間獣医師兼業的形態で町はこの動物センターを開設したのではないかという気がするのである。行政の決まりに疎い獣医師が町の言うことだから問題ないとそれに乗ったのだとしたら、獣医師はもしかしたら被害者ではないかという気がしないでもない。

ペット診療時にくれる領収書が町のものでなく、いわゆる動物病院風であるというのも診療報酬ピンハネの証拠との指摘もある。これもいわゆる動物病院的性格の運用が獣医師採用の条件であったとしたら納得いくものであると思える。

件の獣医師を含めた役場の職員がなすべき金銭にかかわる伝票処理に不明朗なことがあったことも指摘されているが、これもいわゆる動物病院的性格の運用が獣医師採用の条件で、獣医師は他の役場職員の言うとおりやってくれということになっていた可能性もある。良い悪いは別にしてあり得ることである。

私が接した限りでは、件の獣医師は曲がったことをするように思えない。私の直感を信じて、今回の情報を読み解くと以上のような感じになるのである。私の直感では、件の獣医師は誰かに嵌められたのではないかとう気がしないでもない。獣医師は知らずに町の都合に加担してしまったくらいが事実ではないかというのが私の感想である。

ところが今回の問題が指摘されてから上屋久町が警察に被害届けを出したとか、それで獣医師は刑事事件の容疑者になるかもしれないというはなしも聞こえてきている。そういう状況を知って、獣医師の人柄を評価して動物診療センターを利用してきた人たちのなかで、ペットの診療が受けられなくなっては困ると獣医師を応援する動きもあるようである。

No.139の記事に反響メールがありました。こちらに転載してあります。


補足:獣医師開業したらしいこと (H16.10.16)

先日入っていた新聞の折り込み広告によれば、新しく宮之浦で動物病院が開業された。件の獣医師が開業したようである。


 
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