12月初め妻が島外へ出たときに、たまたま書店で目を引いた文庫本があって、面白そうだと買って来た。そのもとの本はシリーズで出版されているのだが、そのなかでは最近文庫化されたもののようである。私はそれを先に読ませてもらったのだが私好みの内容で面白く、すぐに既刊の文庫化されている他の7冊を注文してしまった。
その本は、「偏見自在シリーズ」で著者・高山正之(新潮文庫)である。私の印象では自分あるいは自国のことを棚に上げて自分たちに都合の良いことを言う輩に何を言っているか適当なことを言うなと上げている棚の正体を暴くようなテーマのコラムをまとめたもののようである。各コラムの初出は週刊新潮の偏見自在という1ページのコラムだそうで、文庫本化されて8冊もになるということはかなり以前から書かれてきたようだが、週刊誌に疎い私は今回初めてこういうコラムを読む機会に遭遇したわけである。
国家や国民あるいは政治家や官僚や言論人や知識人そしてメディアなど、内外を問わずその言っていること、やっていることについて、その欺瞞性を指摘し暴いている。言うことやることの裏の意味を見分けなければ、あるいは歴史の隠された事実とその隠されたわけを知らなければ、いま偉そうにものを言い立派そうに振る舞っているものの真の姿や意図が見えてこない。
国家や国民あるいは政治家や官僚や言論人や知識人そしてメディアなどのなかにその性悪さを隠して自分たちの正当性を主張して止まない輩はそこここにいるわけで、私もそういう言動を何となくおかしいと感じたりしていたことがあるので共感とともに、なるほどものを見るあるいは聞くときはこのくらいいろいろ裏まで見通す力が必要だと考えさせられる本である。そしてそれを具体例で学べる本である。
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