11月3日から5日にかけて妻と二人で高速船で鹿児島に行った。3日の13時前に鹿児島に着くのだが、その入港前の桜島に日が当たった姿を見たらむかし桜島の画を見たことを思い出して写真を撮ってしまった。50何年か前に初めて鹿児島に来たとき、多分むかしの市立美術館だったのかもしれないが、そこで有名画家の桜島の油画を集めた展覧会をやっていたので入館して見たのだと思う。黒田清輝とか有島武郎の画があったような記憶がある。今回3日でお終いで行けなかったが梅原龍三郎展が開かれていたけれど、むかしの展覧会に梅原龍三郎の絵があったかどうかは分からない。
桜島については、むかし鹿児島でそれらの桜島の画を見たからか、赤茶っぽいあるいは紫がかった陰影がある印象をずっと持っていた。入港前に日に照らされた桜島を見て私は桜島に持っていた印象が実際の姿と重なって蘇ったような感覚に陥った。それで思わず写真を撮ってしまったのである。家に帰ってからじっくりPCの大きな画面で撮った写真を見てみたらむかしの印象の再現とはなっていない。実際は似ているところもあるという程度なのだが、心象として蘇ったということのようである。
鹿児島に着いた3日はおはら祭りの最終日だったが、私たちはそれを見に行ったわけではない。偶然そうだったようで街はたいそう混雑していた。国民文化祭については町内放送で知って2日には屋久島で開かれている催し物の一つ木工芸関係の展示会を見に行っていたので、鹿児島でも国民文化祭のいろいろ催し物があるようだということは知っていた。用足しの合間に行ってみようと思ったが、いつどこでというような案内ポスターや看板のような情報が私には目につかなかった。私としては行ってみようという気が起こる起こらない以前の問題がある感じだった。国民文化祭は鹿児島県各地で分散開催されているようであるが離島などからわざわざ行く身にとっては万博のように一箇所ですべての催しが行われていた方が経済的時間的によいのにと思った次第である。
その国民文化祭の催し物としては、屋久島の木工芸関係の展示会を見ただけだが、栃の木の木目がいわゆる年輪の木目のような感じではなく模様のようで興味深かった。象嵌も仕事としては大変そうである。しかし私は竹細工が一番気に入った。木は削リ出し磨いて塗るので価値の大半は素材の木の選択によって決まるように思えたが、竹細工は素材よりは細工によりその価値が決まって来るように思え、私としては作者の造形能力がよく伝わって来る感じがしたからである。
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