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横浜のマンションで建物沈下、杭打ち不良が問題になっている。残っているデータで打ち込み深さが足りない杭が何本かあったようだから、地盤調査のミスか杭打ち場所指示のミスか杭打ち場所の間違いなどがあったのかも知れない。しかし実際の杭打ち作業で硬い地盤に達した感覚はあったという作業者側のはなしもあるから、一概にごまかし工事をしたということでもない気がする。データが取れなかった杭について他の杭のデータを流用したということだが、今回の深さ不足が分かった杭でデータが流用されていたとしても、調査や工事そのものはそれなりだった可能性もあるわけで、そうだとすれば建物が沈下するかしないかということについては、なってみないと分からない要素があるのかも知れない。
そういう感じからすると、なんでもないのに気になると言って網羅的に全国でいま現物調査をする必要はないように思える。沈下の懸念がある現象が表に出て来たそのときに調査し対応することを約束しておけば良いわけである。全建物の中で本当の杭打ち不良による現象が出る確率は相当低く、ほとんどはこれからも問題なく住めるのではないかという気が私はしているのである。なるまでは気にしないでいて、なったらそのときである。そういう感覚で過ごしたほうが良い。私がそう思うのは、なんでもないのに健康不安を意識しながら毎日を過ごす生活から開放されたらとても毎日が気分的に楽になったからである。
人間ドックを何十年間受診していて思ったことなのだが、その間検査項目に関連して致命的な病気が発見されたことはない。毎年問題のないことを確認してきただけで、この何十年間受診して来なくても何も致命的な病気にはなっていなかったということになるわけである。ここ20年位の間では、前立腺肥大で摘出手術を受けたが小便の出が徐々に悪くなってその自覚症状を訴えたのは私である。前立腺肥大になって手術をするまでの何年か薬を服用したが、その薬を服用するようになってから血圧が上がって来たことは自分で測定し把握していたが、ある年のドック時測定の血圧が170弱だったので降圧剤を処方され以降十数年薬を服用してきた。最近散歩で躓いたり頭がすっきりしないのは常用薬のせいかもと思ってこの夏以降降圧剤の服用を止めたのだが、頭はすっきりし身体もシャキッとした感じで血圧は高くても170弱で十数年前と変わらない。70代になってからは自覚症状が出たら医者に行くことにして、なったらそのときと思って数年前から人間ドックの受診も止めている。毎年予約しなければとか受診日程を気にしてとか検査結果が気になるとかそういう健康不安を継続的に意識しないで済む生活は清々しいものである。メタボ検診は特にそう思うが検診や検査も健康不安を煽るよりは、病気治療の安全安心に本来的な意義があるように思われる。
ということで杭打ちだけではないが、私はマンション購入者については建物に工事不良を思わせる現象が現れたら調査その他の対応が得られるようにしておいて、なったらそのときと気にせず暮らせば良いと思っているのである。過去の出来上がった建物をなんでもないのに問題があったかどうか現物調査する必要はない。問題があったらそのとき、なければそのまま行く方が、いまわざわざなってみないと分からない要素があるのかも知れないものを全数現物調査してもすっきりすることはないという気がするからである。一方業界としては、職人的な一発仕事でデータが取れなかったときはどうするかが問題だが、今後もそういう場合は職人の感覚を信じるしかないとすれば、データが取れない頻度も多いというはなしもある中、それを想定した工事監理のやり方とその責任の所在を明確化する必要がある。またそれでも不良が発生した場合のディベロッパー以下全参加企業の責任のとり方についても、不良事前予防アクションが不可避の体制確立維持に資するかたちにする必要がある。効率重視主義とか成果主義は安全安心の下にあってこそその意義があるわけである。
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