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  たわごと編: No.267  
  2015.02.22 旅に出て知る_何でも自分の思い通りにはならない  
 
  最近見たネット記事に、自分の存在意義が分からないと言って退職したり転属したいという若者が多いということを話題にしたものがあった。大体は自分の思い通りにならないとそういう理由をつけて、自分が思っているほどの人間でない自分を棚に上げて認められない言い訳にしているのだという分析をしていた。

いまの若者には親にチヤホヤ甘やかされ他人のことに気を回すことを知らず育って何でも自分の思い通りになると思い込んでいるものが目立つということのようである。そしてまた日常生活ではネットでの発信でいいねと思われることが全てみたいな例に見られるように本当に伝わったかに関心がなく生身の相手に自分の伝えたいことを必死で伝える努力をして来なかったから相手の言いたいことを受け止める力が備わっていないというのもその一因と見ているようである。

いつの時代にも何でも自分の思い通りになると思い込んでいる人間はいた。私の子どもにころはそれでも数は少なかったような気がする。やっぱり高度成長で一億総中流と言われるような豊かな社会になって親の生活の苦労を見せない家庭に育った子やその子が多くなったということがいまの何でも自分の思い通りになる人間が目立つようになった原因ではないかと私は思っている。

むかしから他人や相手もそれぞれ思いがあるということに気づかずいつでも自分の思い通りになると思い込む子どもはいて、その対応にまともな親は苦労してきたと思われる。むかしからのことわざに可愛い子には旅をさせよとある。子は親元を離れ辛く苦しい体験をしてこそひととして成長するものだという意味だが、そういう暮らしの中で相手の言いたいことを受け止める力が育ってくることを期待しているわけである。それぞれに思いがある他人や相手に自分の伝えたいことを必死で伝え分かってもらう努力をする経験が自分を省みることになるわけである。問題の若者たちはいまその旅に出たところと見ることも出来る。

自分が子どもだったころのことは棚に上げてのはなしである。私の子どもが何でも自分の思い通りになると思っている人間だったというのではないが、親の庇護が当たり前とばかり世の中を甘く見ている気配に危惧を感じていたことがある。理由は子どものことばかりではないが、私は子どもが学校を卒業する年あるいはした年に当地に移住をすることにしてそれぞれ独立して生活していくように仕向けた。初めになにがしかの資金援助はしたがあとは自立を求めた。

子どもは捨てられたと陰口を叩いたりしていたようであるが、可愛い子には旅をさせよである。娘は卒業と同時に仕事に就かず結婚してしまった。本人も結婚してしばしのモラトリアム期間はあっただろうがそのあとはいわゆる社会の苦労はそれなりに味わったようである。そして20年後のいまはなんとか自分の店を持ち切り盛りしている。息子は何回か転職して今の職場に落ち着き自宅を持って子どもを育てている。強制的に自立させられ苦労したことが自分のためにはよかったと言っていたのを聞いたことがある。二人ともいまも苦労はあるだろうが親の前に尻を持って来こない人間に育ったようである。


補足: 
自分に非はなくすべてはひとの所為
2017.12.13
本日、娘のFacebookにこども時代の思いとともに弟や親のことが書かれていたのを見たが、自分がやっていたことや思っていたことが正しいという思い込みから抜け出していない印象である。自分が思うことすることは正しく、間違っているのは周囲だという意識から抜け出ていない。自分が他のひとに何かを感じなにかを思うということは、他のひとも自分のことに関し何かを感じなにかを思うということである。自分のことしか考えないで、なにかあると自分はどうなのよという見方ばかりして自分が追い込まれている状況をひとの所為にする傾向にはうんざりである。私としては、ひとを見通しながらも優しい人間になってもらいたいのだが、それにはまずは自分を見通すことが先決だと言っても自分は見通していると思い込んでいる現状では聞く耳を持たないだろうから、無視してやり過ごすことにする。商売でひとに心の浄化を説いているようだが、その前に自分の心の浄化を成し遂げてほしいものである。

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