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池上彰氏が書いた従軍慰安婦報道についての寄稿文を朝日新聞(会社)が掲載を拒否したことについて朝日新聞社内の記者が公然と反乱を起こしているということを知らせる池田信夫氏のブログ記事に、朝日新聞(会社)は業界では珍しい「民主集中制」で、例えば慰安婦問題で強制性を糾弾するという方針を社として決めるとそれに反する記事は許さず、マニュアルをつくって研修をやりそれ以外の立場で原稿を書かないように教育するのだそうである。また多様な言論があるのが当たり前の世の中では、朝日新聞(会社・多分経営陣や上層部)が反政府の方針を鮮明に出したとしても、その方針がいやな記者はやめればいいということになるのだが、現実には日本の労働市場にはそういう流動性はないので、社の方針についていけない記者は面従腹背の左翼になるものがいるらしい。とすれば、反乱者も会社に所属しているのだから面従腹背だが左翼の振る舞いをしないでやり過ごしてきている人たちなのかも知れない。
従軍慰安婦吉田証言や福島原発での命令違反の誤報も、日本を貶めることをイデオロギーとした経営陣とそれに迎合して出世した上層部と面従腹背の左翼のやからによるものの仕業ということのようだが、朝日新聞(会社)がその方針で仕切った記事を世の中・世界に発信するというビジネスモデルは、多数の人間によりその記事がインターネットで検証される時代の流れに通用しなくなりつつあるのだが、今回の社内記者の反乱はそれを経営陣に知らしめることになったようである。池田氏はまた、新聞業界では朝日新聞(会社)だけが本当に狂っていて社内の左翼的な空気が暴走しているのだが、それを地方紙(会社)が真似て全国的に影響が及んでいると見ている。そしてこれに歯止めをかけるのは現場の下克上しかないのだと今回の記者の反乱を評価している。
はなしは替わって、7~8年前のことである。共産党の元議長宮本顕治が亡くなったことに関連してある雑誌に掲載された立花隆氏の論文に、共産党の問題は党内言論の自由を封殺するシステム・「民主集中制」にあり、今の委員長も党内批判者の排除の功績により出世してきた人だし、未だヨーロッパの共産党がすべて捨てた民主集中制を捨て切れていないと評しているところがあった。民主集中制とは、内部でトップの批判者が出るとそれを排除・粛正することにより独裁体制を作り上げるシステムらしい。トップに反対意見を持つものは代議員にしない。議案は事前に配られ形式上事前討論にかけられるが反対意見を持つものがその意見の賛同者を求めることは分派行動とみなされる。その結果反対意見を持つものは民主集中制の根幹ルールである分派行動禁止に引っかかることになり査問にかけられ排除されるということらしい。
そしてその論文を見た当時、私はどこかと同じ感じがすると思ったのである。むかしいたある会社でのことである。その会社従業員の組合はクローズドユニオンである。カリスマ的組合長がいて私が入社したときはその体制がしっかり出来ていた。代議員だか評議員だかの選挙は多分執行部の指名による定数立候補でほとんど得票率100%に近い信任投票の趣である。そういう場に私は居合わせたことがあるのだが、投票用紙に造反したような形跡があると、各職場の指導層にその筆跡を見せたりして人物を特定しようとする。多分ブラックリストに載せるのではないかと思ったことである。
職場で反対意見を強硬に言うと、組合役員からご理解願うため個別に説明するなどというはなしもあった気がする。何となく査問に似た面があるのではないかという気がしたものである。そして最後には全員一致の議案採決ということになる。反対意見者は納得して賛成したのか納得しないまま賛成したのかよく分からない。この組合は当時の民社党系の組合である。共産党嫌いの党を支援するということだが、いま思えばやりかたは共産党と似た感じである。私は違和感を覚えながらもクローズドユニオンだから意見を言ってもちょっと押さえられれば給料をもらえることが最優先ですぐ理解した素振りをして流れに身を任す軟弱者だった。でも平常の不熱心な行動で私が締め付けをいやがっていることは見抜かれていたのではないかと思われる。
以上、頭書の朝日新聞(会社)が「民主集中制」だというはなしに関連し、思い出したり感じていたことである。民主集中制はちょっとした団体・組織なども含めどこにでもあり、出入り自由で上手く機能すればそれはそれでよい結果をもたらすが、諸刃の剣なので唯一の選択肢として頼らざるを得ないあるいはすがりつきたい活動をする団体・組織だと、暴走した場合大変なことになる可能性があるわけである。
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