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  日誌編: No.209  
  2014.02.17  佐村河内CD_私も釣られて購入した一人  
 
 
佐村河内氏の作曲したと言われる作品がすべてゴーストライター新垣隆氏によるものだったというはなしである。私は昨年3月に放送されたNHKスペシャル・魂の旋律 〜音を失った作曲家〜は見ていなかったし、新聞に広告が出てもむかし風の名前だけ見てサムラカワチノカミとは邦楽の家元みたいという印象で何の興味も覚えなかった。


ところが昨年の多分8月3日の日経新聞の裏面だったと思うが、全聾の被爆2世の作曲家としての紹介だったかそのひとの作品の紹介だったかが出ていて、いま評判のようなので釣られCDを購入する気になった。そして「交響曲第一番」と「シャコンヌ」というCDを注文した。納品書には注文日8月4日とあるから、新聞記事はその前日のもので間違いないと思われる。

私は交響曲は1回聴いたが、そのCDをさわりさえも聴くことなしに買ったのを後悔したくらい私は惹きつけられることがなかった。音色については嫌いではないが曲としてはまた聴きたいという気が起こらないので聴いたのはそれ1回でほとんど聴かないCD保管用のダンボールに入れた。私はヴァイオリンとか弦楽器の曲は好みなのでBGM的に聴くことが多い。そういう曲については耳障りが良ければ大抵の曲は聴いて不満はない。「シャコンヌ」は一応CDラックに置いてある。

楽曲は誰が作ってもそれ自体が優れていれば良い。しかしそうは言いながら付けられたストーリーやジャケットに記載の解説などに影響されて聴いた感じも変わるものである。それに釣られていたひとにはゴーストライターが作ったと聞いてだまされた感じがするひともいるだろう。そして私も新聞記事に釣られて買った一人だが、聴いて良いと思うかどうかは自分の感覚による。買う前に聴いたこともないのだから当たり外れはあるわけで、それは致し方ないと思っているわけである。

新垣氏の同業者という人物の記事によれば、代作の作品は新垣隆氏にとっては学生の作曲試験に似て佐村河内氏から与えられた課題に学んできた既成のスタイルで答えを書いたに近いものと思われるそうである。お金とか著作権を求めない余技だったというのが、新垣氏にとっての位置づけのようである。自分の創意で真剣に挑むライフワークは別にあって、あれは余技だったが作ることは楽しく聴いて喜んでくれれば嬉しいという感覚でしていたのではないかということである。

昨年10月、月刊誌・新潮45・11月号に佐村河内氏は全聾ではないかという疑惑が出た後、新垣氏は佐村河内氏との関係解消を図ろうとしていたが上手くいかず、今年2月週刊文春で告白に踏み切った。それがゴーストライター事件が大きく報じられる切っ掛けになったようだが、私はお金や名誉を求めないのなら黙って関係から身を引けばそれで済んだのではないかという気がしている。あとは佐村河内氏が自身の身の振り方を考えれば良かっただけである。佐村河内氏が白状し新垣氏の名を出したなら、そのとき余技で提供していましたと開き直れば良い。余技の作品を売り渡してどう使われようが知ったことではないわけである。ひとをだましたのは佐村河内氏なのだからと思ったのである。
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