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日本を訪れる外国人の数は円安が追い風となり、およそ92万人と過去最高にのぼっている一方で、日本を訪れる中国人の数が日中関係の悪化などの影響で2012年の1年間で5万人近くも減少しており、鹿児島県ではこのあおりを受けて飛行機の中国便を利用する乗客数が激減したので、鹿児島・上海便の廃止を避けたいと路線維持のために全額1億1800万円の公費負担の1000人職員の上海研修プランを打ち出したが、批判が相次ぎ結局は県職員・教職員・県民各100人の計300人を事業費3400万円で上海に派遣することで議会を通過した。そして7月10日には第一陣が出発したようだが、住民監査請求や知事のリコール運動の動きも出ているようである。
ニュースによれば、鹿児島
・上海便を利用したことのあるひとの印象では乗客は2~3割というところだったとか、鹿児島のある商店街では中国人旅行客の減少で売上が約1400人の中国人を受け入れた2012年比で半分以下になっているとか言われている。そこで路線がいったんなくなると復活するのはなかなか難しいとの判断もあって、県としては何としても現時点で路線維持に動かねばということで突然の応急的上海研修事業を計画したようである。研修人員1000人なら路線収益については約1400人分以上を確保できるとして一年くらいの恒久策検討展開猶予が出来るかもしれないが、今回議会通過した300人の事業では恒久対策に繋げる時間的余裕はあまり出来ないのではないかと思われる。
そもそも鹿児島・上海便開設はどのような目論見でなされたのか。鹿児島から上海に行く日本人が目当てではなく、上海から鹿児島に来る観光客目当てと思われる。上海に頻繁にビジネスで行く鹿児島県関係者はほとんどいなそうだし、鹿児島に上海から中国人が頻繁にビジネスで来るあるいはそういう需要を生み出す事業が展開されているようなはなしは聞かない。となれば中国人観光客を増やすあるいは以前並に回復させる以外鹿児島・上海便廃止を回避する策はないということになる。今回の日本人乗客を一時的に増やすだけに過ぎない研修事業は、中国人観光客を増やす恒久策を検討し展開するための時間稼ぎであるというのが私の見方である。
需要見込みがないのに路線開設をしたわけではないとすれば、当初の需要予測といままでの需要開拓策はどういうものだったのか。そしてその実績や効果はどうだったのか検証する必要がある。路線開設すれば実績はついてくるはずという甘い考えでやっていたわけではあるまい。具体的な県などの活動計画とその実績を分析しその結果を説明せず唐突に研修事業提案では理解されなかったのは無理は無い。今後も神頼み的な需要喚起策では以前並くらいの回復が限度である。そして外的要因対応など危機管理的対応策も含めた恒久策を展開して行かないと、同じことを繰り返す状況は変わらず今回の時間稼ぎ事業も無駄金を使っただけになると思われる。
補足: 10月以降派遣見送りになるらしい
2013.08.23
22日のニュースによれば、搭乗率が安定運行に必要とされる50%を上回ってきて8~11月それを維持できる見込みだということで9月県議会に提案する補正予算に派遣事業費を計上しない見通しだそうである。そして10月以降の派遣は見送りになるようである。路線導入に際して搭乗率50%を切ったら鹿児島県が補償する契約でもあったような印象である。たった何回か派遣している間に搭乗率が回復するなら派遣事業の必要性検討が杜撰だったのか、他にしなければならない裏の理由があったのか、気になるところである。
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