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  日誌編 (with photo) ・ 偏見ご免のたわごと編  
  たわごと編: No.62  
  2011.08.08 「真面目がバカを見る」論に違和感  
 
  もう半年以上は前のことだが、日経ビジネスオンラインで2010年12月2日付けの「真面目がバカをみる」という記事を見た。その時の読後感である。真面目さというものを論ずる発端は筆者が工場見学をして現場の作業者の仕事ぶりに真面目さを感じたことからのようである。そして真面目な彼らの特徴として決められたことをミスのないように徹底的に真面目にやると誰もやりたがらない仕事を無言で文句一つ言うことなく当たり前のようにやるというようなことを挙げて論じている。

真面目がバカをみるという意味については次のように見ているようである。世の中では経営側の基準からしか現場を見ないので当たり前のことをやっている人たちの当たり前にする努力を評価せず、経営側の評価基準に彼らを当てはめようとする。そして目に見えない力は無視される。最悪の場合には、経営側の評価基準に合わない人たちは単なる調整弁扱いされたり努力が足りないと非難されたりする。それをバカをみると言っているようである。

そして仕事を真面目にすることは当たり前のことだが、当たり前のことを当たり前にするのは実に難しく、それを当たり前にできている人も少ないから、やはり当たり前に真面目に働いていることは評価されるべきことではないかとして、彼らが自分の存在と仕事に意義を見いだせるようにトップや彼らを管理するホワイトカラーの人々は努力してほしいと思うというのが結論になっている。私は地道に真面目に仕事をする人を評価すべしということについては異論はないが、世の中それなりの組織でトップや管理者ホワイトカラーがこのような例でそれなりに努力していないところはないと思っている。

私の見るところ、なんとなく筆者は現場作業している真面目な人が弱者であるかのように思っていて、そういう真面目な人にあるいはそういう人たちを正当に評価することを当たり前にやっているトップや管理者ホワイトカラーにおもねてありきたりの結論を出している感がある。また真面目に仕事をするという意味合いが決められたことをミスしないでやるとか誰もやりたがらない仕事を黙ってやるとかいう単純な観点から示されているが、多様な職場の実情があり仕事に取り組む真面目さも多様だと思っている私は筆者の真面目さの捉え方にいささか物足りなさを感じてしまうのである。

真面目とはこういうものでないといけないというのは、それぞれの人がその立場によって捉え方は異なると思われる。筆者はその真面目を職場におけるものとして論じている。そして筆者の言う真面目は好き嫌いは言わず与えられたことに沿い逸脱してはいけない型があることが前提になっている感がある。私としては真面目とは自分がやっていることに対する姿勢であり、自分のやっていることに手を抜かず常に真剣に取り組むことだと広く捉えるべきだと思っている。

私の経験では、決まったことをミスなくこなすことはそれなりに評価されそうしている真面目な人は大方バカを見ていないと思っている。ただ仕事にはいろいろの側面がある。例えば創造的・先進的仕事では決まったやり方では済まない。そしてそういう仕事に努力する人の真面目さはまた外見や質が異なっているところがあると思われる。世の中誰かが創り上げ決めた仕事を筆者の言う決められたことをミスなくこなす人たちがその通りこなしていくという面がある。仕事を作り上げる努力をするような人の真面目さはいわゆる決まったことをミスなくやる真面目さとは外見が異なって見えるはずである。多分そういう人のまだ成果が出ないうちの真面目な努力の評価こそ難しい。

職場で真面目がバカを見ないようにということは誰も異存はないと思われるが、その真面目な努力は職場や仕事内容によりいろいろ異なる。筆者は真面目がバカを見ると言える比較対象やその具体的例を示さず、決められたことをミスなくこなす真面目な現場作業員はバカを見ているかも知れないという固定観念にとらわれてそう言っている感じがある。私が真面目さの多様さの一例として筆者は著述を決められたことをミスなくこなして為しているわけではないと言ったとする。そのとき筆者がそれはそう、私は現場作業員ではないからと言うのではないかと言う気がしているのである。なんとなくそういう筆者の目線のあり方が気になって私は違和感を覚えているのである。
 
 
 
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