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敬老の祝いを受けるような高齢者が亡くなっているのに届出をしないで家族がその年金を何十年も受け取っていたというような事件が話題になった。それで行政が住民登録している高齢者の生存確認をしたら、縁者も所在を知らない行方不明のような高齢者が出てきたりしている。これは縁者が亡くなったのを隠し続けていないなら、失踪したり犯罪に巻き込まれたりあるいは認知症で徘徊し行方不明などになったりして、どこかで身元不詳で亡くなっているとかいうことかと思われる。
また、役場が登録されている戸籍を調べたら150歳近い人や100歳を超える相当数の人がそこに住民登録されていないが生きていることになっているようである。これは死亡届などが適切に出されていなかったりしてのことのようだと報道されている。この件については私は別の原因でもそうなることを実際に知ったことがある。私の母が40年近く前に亡くなった後のことである。
なんの理由があってのことか知らないが、私が小学校へ入る以前の記憶があるむかしからわが家には母方の縁者とのつながりは全くなかった。しかし母は結婚前どこに住んでいたとか兄弟は何人とか、商売をしていた父親が亡くなってそれまでの暮らしができなくなったとかそういうはなしはしていた。母が亡くなってから母の縁者でもいるかと、母がむかし住んでいたという場所の役場に行って母の名前を言って調べてもらったら、母は結婚していないままで旧姓の戸籍に載っていた。勿論兄弟の所在も分からないまま戸籍だけがあったのである。
母は、わが家の戸籍ではその戸籍から父と結婚し入籍している。戦前の話である。それから三十何年も経ったあとに、むかし住んでいた場所の役場に母の未婚の状態での戸籍があったのである。二重戸籍ということになる。役場の職員に事情を告げ住所も知らせてきたが、母の死亡届でそこの戸籍が抹消されたかどうかは分からない。もしかしたら今も母は100歳弱の未婚で戸籍上まだ生きていることになっているかもしれない。
考えるに、二重戸籍になったのは戦争のせいではないかと思われる。多分空襲の爆撃で戸籍の原本が焼失し、残っていた資料を集めて戸籍を復元しようとしたのだが、母の結婚以前の時点までの資料しかなかったためその時点の戸籍に復元されていたのだと思われるのである。そこで、戸籍では生きている超高齢者の一部には戦争で何らかの理由で二重戸籍になっていて、一方の戸籍で実際は亡くなっているという人もいるかも知れないと思ったりしている。
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