屋久島生活の断片・日誌編
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No.294  顕微鏡のこと  [H22(2010).05.24]

以前からintelの教育玩具のようなUSB接続のPC表示用顕微鏡は持っている。庭などの小さな虫や植物の細かなところを見ようとして購入したのだが、画像のピントや色がいまいちクリアでないので、やはりおもちゃかと使う気がしなくなって放置したままである。ところが昨年スズメバチをトラップを仕掛け捕まえるようになって特徴を見て分類するのに苦労はなかったが、細部を観察しようとすると視力が悪くなったせいか虫眼鏡で見ることが多かった。

それでカメラで写真の撮れる顕微鏡が欲しいなと思うようになった。そうは言っても具体的に何を見たいという確固たる対象があってのことではない。そして漠然とあったら良いなという感じのまま、今年になって顕微鏡を購入してしまった。

雄しべと花粉 雌しべと花粉

まず手始めにと、庭のツツジの雌しべ雄しべを見てみた。雄しべの花粉と雌しべのべたついた表面に花粉が付いている。見たところでは受粉完了し時間が経過するとその必要がなくなるからかべたべたがなくなるようである。雌しべ雄しべを見ていてどこかに花は植物の生殖器というはなしが出ていたのを思い出して下らぬことを考えてしまった。

花の写真を撮って特徴分類を趣味にしたとする。同じ花でもちょっとの色の違いとか長さの違いとか太さの違いとかを調べそれでどこから来たものとか何と何が混ざったものとか研究していく。花はそれで研究していることを公然と言っても問題ない。比較写真を公開しても多分よい趣味だと言われると思われる。しかし人のこととなると問題になる。男と女のあれをいろいろ写真を撮って人種とかどことどこの混血かとか経時変化とかを特徴分類し研究するとなれば、いささか一般人の趣味としては問題になる。花を愛でる自分に潜在的にそれに通じるところありやなしやというようなことである。

ダニ(背側) ダニ(腹側)

次に見たものは、犬の散歩から帰って風呂場で体を拭いてやっていたときに床に落ちた虫である。胴長1mmくらいの虫である。足先に細い毛みたいなのが付いていてしなやかに動いていた。多分マダニの一種で犬が草むらで用事を足したりしたときに付いたものと思われる。落ちなくても我が家の犬にはフロントラインというノミ・ダニ薬を毎月つけているから食いついて生き延びることはないはずである。

マダニは主に草むらなどに生息していているが、どこででも活動できるようでいたるところで待ち構えては動物の熱や振動、二酸化炭素などを感知し飛びつくそうである。第1歩脚の末節にある特殊な器官で感知するらしい。飛びついたら薄い皮膚のところに移動し食いつく(鋏角という部分で皮膚に穴を開け、口下片というのを差し込む)。口下片はかえしがあるような形状のうえに差し込んだら接着剤を出して固めてしまうため、一旦食いつくと取れにくいということである。

マダニは食いつく前は1ミリ程だが、食いつきはじめ数日はゆっくりと血を吸いその後ペースを上げて丸々と膨れ最大小豆大くらいになる。吸う時に痛みを無くす物質を出すので痛みがほとんどなく、気付かれず大きく膨らむらしい。マダニは慢性脳脊髄炎などの人獣共通感染症を起こすボレリアという病原体を媒介する。病原体を持っていると食いついて72時間を過ぎると感染確率が高くなるということである。また大きくなって気付いて無理にむしりとると差し込んだ部分が残ってしまい医者に行く破目になるということである。


 
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