屋久島生活の断片・日誌編
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No.200  畑総のこと H18.09.04)

何年か前に中断された屋久島南部の畑総(畑地帯を総合的に整理する県計画の事業らしい)が今年再開されたようである。小島の県道沿いは春から工事が始まっていた。夏には私が散歩する範囲内でも林が重機でなぎ倒され、むかしは畑の段々の石垣みたいなものが見えてきているところもある。ずっと以前は入植し畑を開墾した畑だったものと思われるが、気象の影響を受け易いとか、あるいは畑をする人が居なくなったとか、そういうことで放置され長年に間に林になってしまったところもあるようだが、それらも含めて再開発するということのようである。

つい最近までトンネル状の木の下を散歩していた道の周辺の林がなぎ倒され始め
た。未開地の焼畑農業みたいになぎ倒した木などを燃やすので、近隣では風向き
により煙に燻られる、煤が飛んできて洗濯物が干せないなどのクレームが出てい
るらしい。
 

木をなぎ倒したら、むかしの段々畑
の石垣らしいのが見える。以前には
畑だったのが、林になっていたらしい。

そう言えば、昨年か今年に入ってからか覚えていないのだが、県道上の農道で農業用水の配管を埋設する工事が結構長期間やられていた。畑を作っても水がないと役に立たないから用水工事も事業の一環のようである。私の住む周辺を見てみると、水田やもと水田だったようなところにはU字溝の用水路が見られるが、そうでない畑では大きな水タンクで水を運んで撒いている、あるいはそのタンクの水で農薬を撒布しているのを見かけることがある。

また川からパイプで水を引いて畑にまいているところもあるようである。近くに川がないミカン畑でもスプリンクラーが水を撒布しているのを見かける。屋久島は雨が多いから水には困らないと思われがちだが、海沿いにある畑や居住地域では年がら年中雨が降るわけではない。そして多分農作物に水が必要なときにはあまり雨が降らないし、地層も薄いから保水が十分でないので、農業用水の心配も同時に解決しないと開発はしたがまた使われない農地になってしまうということなのかもしれない。

ところで畑総と言えば以前、計画では農家の年間売り上げの20倍余の投資を要するが、それを回収する目途がはっきりしていないのではないかという批判があった。そしてごまかし計画だと県支出ストップの住民請求が出て通ったり、屋久町がその計画に関連し違法な借金をしたと裁判で非を認めたりで今まで工事が中断されていたのだと思われるが、それらの問題がすっきりしてしわ寄せが農家や住民に来ないようになっての工事再開ということなのか気になるところである。


 
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