秋になれば、屋久島でも山の高いところでは紅葉しているのだろうが、海に近い平地のわが家あたりではそういう景色にほとんどにならない。そして年末から今頃にかけての時期になると紅葉が目立つようになる。ひらけているところでは大体ハゼしか紅葉する木は生えていないようである。生命力が強いのかやたらに生えていて目立つ。
農道から我が家に下りてくる道路の脇にもハゼが多い。夏には枝葉が伸びて道路にかぶさってくる。触ってかぶれるといけないので、散歩のときなどに体に触りそうになった枝葉は後刻枝切り鋏の先でチョンと切り鋏の先で挟んで道路横の草木の隙間に捨てる。注意してやっていても切ったときにハゼの切り口からかぶれのもとが飛んでくるのか、かぶれることが多い。枝切りしたらすぐ風呂に入るのだが、それでも赤くかぶれてかゆくなることが多い。毎年それで医者に行くはめになる。
そういうことを繰り返していたある年、冬になって紅葉し落葉して大分経ったころ、枯れ木様になったハゼならば蒸発成分は少なかろうと、夏に枝切りしなくてもよいように大々的に枝を整理しようとのこぎりで切りまくったことがある。かぶれることはあるまいと汗をかきかき首筋に切りくずがかかるのもいとわずやったのだが、案に相違して枯れ木のようになったハゼでもかぶれてしまった。上半身、ベルトより上がかぶれて大変だった。
私はかぶれに弱い。だからハゼには近づきたくない。しかし道に垂れ下がっている枝葉は気になる。散歩出歩くのは私たち夫婦だけであとの近所の人たちは車で通る。だから他の人が枝切りしてくれることは期待できない。そこで自分だけでやむなく枝切りをする。それでかぶれる。毎年こんなことの繰り返しだから、ハゼは私にとっては迷惑な木である。無ければよいのにと思うのだが、それでも冬のこの時期の紅葉は愛でてしまう。透き通るような鮮やかな紅色に見えるときが特によい。