屋久島生活の断片・日誌編
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No.104  町の広さと合併のこと H14.09.23)

屋久島でも合併のはなしが検討されようとしているようである。先月屋久町が合併の件とごみ処理の件について町民の広場を開催すると放送していたが、私は夜なので眠たくなるしゆっくりしたいから行かなかった。その後他集落の人と話す機会があってどんな内容かと聞いてみたら、そこはまだ開催されていないが人づてに聞いたはなしでは屋久島広域ごみ処理施設は屋久町から見て宮之浦の先のほうに建設されるらしいとのことである。合併のはなしは上屋久町、屋久町の合併をするほうが良いかしないほうが良いかを協議し始めようという段階らしい。

屋久島とむかし住んでいた横浜市(黄色に囲まれた範囲)の同一縮尺図
・屋久島図中の赤線に沿って20くらいの集落がある。行政や商業中心地の
 尾之間、安房、宮之浦は順にそれぞれ20kmくらい離れている。
・横浜市は20くらいの区に分かれてそれぞれに
屋久島の町のように役場が
 ある。赤で囲った小さい方は中心部の区、赤で囲った大きいほうはかつて
 一番大きい区だったが、近年はいくつかの区に分割された。区の中に駅
 などを中心にいくつかの生活・商業圏がある。
 感覚的にはそれが屋久島の町に相当しそう。

数年前、鹿児島の調査機関から行政から委託された調査ということで、屋久島両町合併に対する意見の調査票が送られて来たことがある。私は合併を望まないと回答した記憶がある。その理由は単純で例えば役場が遠くなったりしたら困るという感覚的なものである。

多分両町合併が実現すれば、町長は一人減り、議員は今集落2人くらいずつ出ているのが1人ずつくらいになり、今の役場は支所になり全体では役場の職員も若干減るとか、今の両町にまたがる介護やごみ処理のほかにも事業が統合されるとかして、効率化される可能性がある。一方将来は地方交付税が合併による行政経費の削減分よりも減るらしいから、住民の負担が増えるというはなしもある。しかし私には合併がどの程度の影響があってそれに見合うメリットがどうなのかまだ良く分からない。だから感覚的な感想しか持てないのである。

屋久島は南北半分ずつに分けたようにして二つの町がある。人は屋久島の外周部(海から1km以内がほとんどと思われる)に住んでいる。道路は外周に沿って1本あるだけに等しいから人の住む所という意味では町は面ではなく線状といったほうがよい。

屋久島一周100km強だが実際は周回路のうち西部林道は一般通行にはあまり利用しないから、その一方端から県道を回り他方端までの80kmかそこらが移動距離から見た屋久島の広さということになる。また各町単位で見れば住民の住む範囲は移動距離にして30〜35kmくらい、それが町の感覚的な広さである。

自家用車を利用していれば屋久島は道路の渋滞はないし、時間的には比較的短時間で着く。しかし交通機関のサービスや費用負担でみれば、バスは1時間に1本くらいしかないから用足しの実質的時間はかかる、距離があるから目的地へ行くにはそれなりにかなり運賃がいる。タクシーは早く着いても距離があるのでもっと高くつく。一人一台自家用車を持たない限り、各自が自由に動き回れないのである。

合併してもそういう条件は変わらないだろうから、私は多分今より日常生活で困ることはない。しかし合併したときに町の機能が今まで両町分散していたものがそれぞれあるところに集中したりすると、町が80kmくらいの線状であることが住民に問題をもたらすことがいろいろ出て来て、今より不便になるのはいやだという感覚はあるのである。

合併と関係はないのだが、屋久島が線状に長いことが問題になるという意味では、その予兆みたいなはなしが現実に起きている。両町広域事業であるごみ処理施設は当初上屋久町と屋久町の境界近辺を考えていたらしい。その話が公になる前に誰が音頭をとったか両町境界付近の住民が建設反対の署名を集め反対活動をしたから、屋久町からはるかに遠い上屋久町の宮之浦の向こうに建設ということに決まったいきさつがあるようである。

噂では、施設の性能などが見えてきてからかもしれないというものの、屋久町の境界近辺の住民の中には、こんなに遠くなるなら反対しなければよかったと言っている人もかなりでてきているらしい。また60kmも離れたところに自分で持ち込まなければいけない人もでてくるとなれば、上屋久町から離れる方向に行くに従い不法投棄が増えるのではないかと心配している人もいる。


補足:(合併協議会だよりを見てのこと) (H15.01.11)

数日前町広報1月号とともに「任意合併協議会だより」が配られてきた。上屋久町、屋久町合併のメリットが挙げられている。「島外からのイメージとの合致」、「環境政策の一体的・総合的推進」、「屋久島の資源の一体的な活用による新たな産業の創出」、「人材の最大活用による地域の活性化」、「重複投資の解消による行財政の効率的な運営」とある。

ほとんどの項目の死命を制するのは「人材の最大活用による地域の活性化」にあるとおり人材いかんによると思われる。しかし人的には屋久島はあまり広さを感じさせない。鹿児島市と合併でもしたら、新しい人材の導入や人事で斬新な企画が期待できるかもしれない。


 
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