屋久島生活の断片・日誌編
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No.100  雨の被害のこと H14.07.29)

台風7号が過ぎてから何日かして、偶然ゾウムシ駆除の見回りをしていた人が見つけてくれたらしい。近所の川沿いの家の敷地は一辺が崖縁で石垣を積み上げて造成してあるのだが、その崖側コーナーの石垣の一部が崩れてしまった。家の人は言われるまで気づいていなかったらしい。崩れた石は崖の急傾斜土の上に置かれた下側の石である。石垣の下の土が流れその上の石が崩れて石垣の下部に穴が開いた感じである。このまま気づかないでいたら、いずれ敷地のコーナーが崩れてしまったかもしれない。

応急処置後の石垣崩れ部
(崩れた石の一つが排水溝
 にまたがっている。)
 恒久対策後の石垣崩れ部(石垣の石の
 抜けたところをコンクリで固める。)
(排水溝は落ちた石をよけて底上げし曲げ、
 両側はコンクリで高くする。
崖のかなり
 下までコンクリで固める。)

石垣が崩れた家とその隣の家の間には排水溝がある。その排水溝は件の石垣の下端と同じくらいのところが末端で川沿いの崖に雨水を落としている。このあたりの土地は谷状になっており、農道から海側にある緩傾斜の土地のうち、家4軒と100m四方以上と思われる空き地に降った雨水がその一つの排水溝に流れ込むようになっている。

排水溝の末端付近は2軒の石垣の間の深く狭い隙間に傾斜を付けて設けられている。そのため大雨が降れば近隣から流れ込んだ雨水が末端部で排水溝をあふれ周りの石垣の下の土を洗い流す。石垣の造成と排水溝の設置工事から5〜6年の間にそれが徐々に進行して今回の石垣崩れに至ったものと思われる。

我が家から海に向かって100mくらいのところに断崖がある。その一角に地元の人が貝取りなどにたまに上り下りする場所がある。かつては谷状になっているこのあたりの土地に流れ込む雨水を一手に滝にして海に流していたと思われる。長い自然の歴史の中できたもので、土は見えず大岩やゴロゴロとした岩からなる急傾斜の枯れ沢である。雨が降れば今でも件の排水溝より下の低い土地の雨水を流していると思われる。

いまではこのあたりより高い土地の各所に雨水排水溝が張り巡らされているので、このあたりの土地より上側から流れ込む雨水はない。だから枯れ沢が出来たむかしのような水量は無い。そのうえ件の排水溝はこのあたりの谷状地の半分くらいしかカバーしていないからさらに水量は少ないはずである。それでも時間がたてば今回のように土が流され石垣が一部崩れるまでになるのである。常々急傾斜地では周辺に気を配っていないといけない。

地形とか雨水の振る舞いに疎そうな件の敷地の住人には、今回のことは突発事件に等しかったと思われる。このままではいずれ枯れ沢のように岩が露出するまで土が洗い流され敷地の形が無くなるのではと心配になったかもしれない。

復旧・対策工事は造成した業者がやってくれたようである。工事としては石垣が崩れてあいた空間をコンクリで埋め、2軒の間の排水溝両側の石垣をコンクリで固めるとともに、水の流れていく崖の斜面を広い範囲コンクリで固めている。


 
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