屋久島生活の断片・日誌編
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No.95  春田浜のこと H14.05.20)

安房から少し西の海岸に春田浜というところがある。7年位前越してきたころ春田浜海水浴場という看板に引かれて一回行ったことがある。サンゴ礁の海岸で隆起しているので引き潮のときはサンゴ礁の上を歩いて回ることが出来る。地元のおばさんが何人か貝取りをしていた。

サンゴ礁といっても色の黒い岩のように見えるがその岸辺あたりに広く穴が掘られている感じのところがありそこが海水浴場ということらしい。岸にコンクリのベンチ状に横に広がった階段があり、少しはなれた上の方にコンクリの野外舞台みたいな休み場所があったような記憶がある。そのときの印象ではプールは回りを黒っぽい岩に囲まれた砂利取り跡の穴のようで明るく清潔な感じがせず、こんなところで泳ぐのかという感じがしたものである。

左から コンクリの休み場所、水泳監視台、プール
     監視台の右
から写真右端に見えるプール向こう側は隆起サンゴ礁

そこがいつのことか知らないが、ネイチャーウォッチングリーフという名で整備されたらしい。しかし岸辺をコンクリで固め芝を植えて公園状にしたため岸辺の珍しい植物をだめにしたということで非難もあるようである。ネイチャーウォッチングリーフの名を聞いてあきれる、人工的に造っておいてネイチャーウォッチングリーフ(自然観察サンゴ礁)とはなんだということである。

そこで実際はどうかと見に行ってみた。私の見るところ人手の入ったところはネイチャーウォッチングリーフではない。従来の海水浴場を利用しやすく魅力的にしようと整備したものである。簡保融資で整備したと看板に表示があるから多分名目は自然観察施設の整備ということにしたのではないかと思われる。そういえば夏には春田浜海水浴場の監視員のアルバイトを町で募集していた放送を聞いた憶えもある。

以前来たときに比べ格段にきれいになり、夏に孫でも来たら連れて行って泳がせても良いと思えるくらいだった。コンクリの階段部はきれいになり、プールを囲むようにその上側の整地したところに芝を張って、縁は石をはめ込んだコンクリで固めてある。シャワー室も整備されたようである。これを見ての私の感想は、今後もこの状態を維持していけるのかが課題というものである。よく作ったときは良いがその後のフォローがなく寂れ汚くなっていく。そうならなければよいがと思うのである。

ネイチャーウォッチングリーフという名をそのとおり受け取って見てみるとすれば周辺のリーフのことになろうが、そこははむかし見に来たときと変わらず人手は入っていないように思える。施設はリーフの上を歩いて水溜りを観察したりすることを阻害するように見えない。施設はそういう自然観察をすることの出来るサンゴ礁への出入りのベースであり、子供たちが観察する場合には付き添いがそれを眺めながら待つ場所でもある。そんな感じである。

岸辺の植生のことは私は良く分からない。ただその場所は従来から海水浴場として設けられていたところで、その整備で周辺地帯を開発しているわけではない。周辺地帯に天然記念物の植物があるなら今後この施設が荒れて周辺地帯に悪影響を及ぼさないように今の状態を維持していけるのかが、前述と同様課題ということになるのではないかと思われる。

屋久町には海水浴場は多分2箇所あり、春田浜と栗生の海水浴場である。あと海中観察ということでは栗生の青少年旅行村の奥に海に入れるところがある。いずれもシャワーが設置されている。春田浜の人工のネイチャーウォッチングリーフは多分地元の子供がおもに利用する海水浴場である。むかしは春田浜海水浴場という道しるべしかなかった。しかし今ネイチャーウォッチングリーフという表示もある。観光客はその名に重きをおいてやって来ると思われる。それがその命名の目的でその意味では効果もあったと思われるが、自然保護施設と誤解される一面も持っている。

私が見に行った日は平日で誰も人はいなかった。こんなにすいているならば犬と遊ぶのに格好の場所だと思い、次の土曜日に犬を連れて行った。そうしたら駐車場は車でいっぱいである。やっと隙間を見つけ駐車して海岸に行くと子供たちがいっぱいいる。聞けば小学校のあるクラスの親睦会だそうである。子供たちが磯遊びし母親が芝生で赤ちゃんを抱きながらそれを見ている。地元にはそれなりに使われているが人口が少ないから人が集中せず目立たないのかもしれない。


 
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