我が家からはロケットはモッチョム岳の右に見える裾野に上がる。人の家の屋根の上方に上がるのを見るのは面白くないから木々の景色の上方に上がるのを見ようと近くの空き地で待っていた。11時半ころと聞いていたのでその前に行っていたのだが11時半を過ぎても上がらない。また延期になったかと家に帰りかけた途中近所の家のご婦人が家の草取りをしているので挨拶をした。
このあたりからロケットが上がるのが見えるので見に行っていたが上がらないので帰るところだと言うと、その人はTVで11時40何分かに変更になったと言う。そこでまた戻って待っていたら、その人が双眼鏡を持った95歳の父親を車椅子に乗せてやってきた。ロケットが見えると分かってやって来たということである。3人で待っていると今度は妻が犬を連れながら私に延期になった時間を教えにやって来た。
車椅子のご老人とその娘さん、妻と私と犬、4人と1匹で待つことしばし、そして前述のようにロケットの打ち上げを遠くから見物したわけである。引っ越してきて5年くらいの50mほどしか離れていない家のご老人と私が言葉を交わすのは初めてである。年をとると近所でもこんな偶然的機会でもないと互いに顔を合わすことはない。気軽に出かけられるところもなく、車椅子での散歩も起伏の多い地形では自由度が少ない。そういう環境にあってもロケットを見ようという好奇心の旺盛なしっかりしたご老人だった。我が家の犬、レオはそのご老人に寄って行ったがはしゃぎもせずおとなしくなでられていた。まだ生後5ヵ月半なのにもうアニマルセラピー犬のようであった。