屋久島生活の断片・日誌編
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No.37 畑の造成工事のこと (H13.01.22)

昨年10月頃から小島のあたりで草むらや雑木林のところを造成工事している。看板を見ると岳南畑総整備事業というらしい。町広報によると尾之間から湯泊までの間で畑、樹園地、水田用地を作るらしい。

小島の畑造成をしている現場(海際は林を残して欲しい気分がする)

農地の区画を整理して機械化の促進による省力化、品質と生産性の向上が狙いとある。機械を入れられるようにすれば省力化と生産性の向上ははかれると思うが、品質はどうするのだろうか。工事を見ていると用地の境界部を盛り上げ内側は窪地状にしてあるからこれから肥えた土を客土するのかもしれない。

私は妻と一緒にこの半年くらい前から大体毎日散歩をしている。農道や裏道を歩いてみたところむかしは畑ではなかったかと思う段状になったところがいっぱいある。背丈を超える草が生えているところもあれば雑木で埋まっているところもある。農業をしなくなったところに草が生えそのうち大きな草がはびこってくる。もっと時が経つと雑木が生えはじめだんだん雑木林になる。段状地は農地のなれの果てのようである。

工事はそういう多分過疎化で農業がやられなくなっているところを区画整理している。やる気のある現行農家に業容拡大しやすいかたちで提供しようというものか、あるいは農業の集団経営化を目指そうというものかそこのところは広報にのっていないから良く分からない。工事主体は鹿児島県のようである。いわゆる公共事業の一つということか。

工事は平成17年まで続くらしい。工事があるとガタンガタン、ゴウゴウと音が聞こえてうるさいときもある。風があれば土埃が飛んでくることもある。土を掘り返すからこの土地特有のなんかくさい土の臭いが漂ってくるときもある。家から数kmのところで工事していてもそういう時がある。気圧と気流の具合でそうなるのかもしれない。ここでは200mくらい離れた家でレコードをかけているのが聞こえてくるが音の伝播が良いのはこの土地の特性かもしれない。考え事をしていると気になる。

静かに暮らそうとして越して来たのに思ったより屋久島は結構うるさい。越してきて一年目の家の周辺の宅地造成、今中断している山からガンガン音が聞こえていた林道工事、今度は畑の造成である。自分の気になるところは1年で終わるとしても20年の余命とすればそれは人生の5%である。でも文句は言うまい。自分の家を建てる時近所へ騒音で多分迷惑をかけた。おかげで今屋久島生活を楽しんでいる。これも同じことだと思って我慢する。この工事で近辺集落の農業が繁栄し豊かになることを祈っている。


補足: 工事差し止めのこと (H14.06.17)

上記の工事が最近差し止めになったという報道がある。オンブズマンからの指摘で工事計画可否の判断のための採算性検討資料が採算がとれるように過大に設定された基準数値に基づいて作成されていることが明らかになったためらしい。

工区の近辺の雑木林の中に段々畑の跡のようなところがある。縁には石垣と思しきものがあり、むかし畑を造成したところではないかと思われる。上記記事で雑木林の段状地は農地のなれの果てのようであると言ったところである。むかし造成したものの今は使われず雑木林と化しているのになぜまた新たに畑を造成するのか、当時疑問に思ったのだがどうやら工事すること自体が計画の目的だったのかもしれない。


補足: 違法支出金賠償判決のこと  (H16.12.23)

法律では、農家の負担金が重すぎるとき、町が一部を負担したり一時的に肩代わりしたりしてよいことになっている。その地元負担金は適正に処理すれば地方財政法の規定に基づき地方交付税の対象になる。然るに町は法律上許されない方式で処理し隠れ借金にしていた。ということでオンブズマンが一昨年の11月土地改良事業をめぐる屋久町の違法支出について住民訴訟を起していたが、日鹿児島地裁で、当時の助役と収入役(現在は共に退職)が総額7500万円余りの違法支出金の全額を町に賠償すべきとの判決が出たということである。

 
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