屋久島生活の断片・日誌編
                     Home > 目次_top  >  記事

 
No.20 図書室のこと (H12.09.17)

屋久島には私の知るところ本屋は3軒ある。大体文房具屋と兼ねている。いわゆる新刊文芸・教養図書は棚幅にすれば1Mか2Mに収まるくらいである。少ない。本屋の大部分の本は雑誌、コミック類である。本屋が悪いわけではない。人口が少なく、よく本を読む人間が少ないためと思う。本屋に行って気に入った本に遭遇するとうれしい。ある1軒はたまにそういうときがある。その本屋の主人に本へのこだわりがあるからと独り合点している。でもあまりその本屋に行かない。往復70Km以上、ガソリンは1リッター130円以上だから1回行くと1000円くらいかかる。インタネットで買うほうが安い。(定期刊行雑誌は一番近い本屋に配達してもらっている。集落の店屋に配達されるので頃合を見て取りに行く。配達賃1冊50円かかる。)

図書室のある中央公民館 図書室内部

私と妻が流行りの文芸・教養図書をこんな環境のなかで読みたいとき、どうしているか。私が町の唯一の文化施設と言うところの、屋久町中央公民館図書室を利用している。屋久町の図書室では図書の購入希望ができる。だから話題の本や興味のある本を購入希望する。希望が通れば買ってくれるので第一希望者だったときは第一番に読むことができる。他の人が希望したものも希望者が一巡すれば棚に並ぶ。それで自分の見逃していた本も見ることができる。

私たちが引っ越して来た当時は興味をひく本が少なかった。従来町だか教育委員会の上に立つ人が教育的見地を建前として好きな本を選んでいたらしい。だから利用者には面白くない本が選ばれることが多いという状況だったらしい。しかし昨今図書の管理を委嘱されている方々(その働きにはボランテイアのように使命感が感じられる)の努力により利用者の希望が図書購入に反映されるようになってきた。そうなれば図書室の効用もあがる。私たちは昨今よく利用している。町あるいは教育委員会の柔軟で視野の広い運営を歓迎している。

一方町だか教育委員会では雑誌はとらないと言っているらしい。雑誌はそれを選べば先進情報や教養、生活の知恵と潤いの宝庫である。だからいささか私たちも協力している。最近は読み終わった文芸春秋、クロワッサン、日経ビジネスを寄贈している。前ニ者は利用者がまだかまだかと言うほど人気だそうである。

補足: 無料貸本屋のこと (H12.11.20)

文芸春秋12月号に林望の公共図書館は本来の機能を忘れ無料貸し本屋に堕しているところが多いとの論が出ている。同じ流行本を何も
買いこみただで貸し出しもう読み手が興味が無くなったと見るやそれを廃棄する。

一冊の本を多数で回し読みをする。こんなことでは本は売れなくなる。出版文化の危機である。読みたい本は自分で買え。というようなことが書いてある。

一例だが「くたばれ専業主婦」という本を借りてみたことがあるが汚い言葉の羅列、あんな本が出版される。程度の悪い本を書いても著者はTVなどに出たりする。本当の本が少ないのである。本当の本を読む人間が少ないのである。だから話の種に見てみようと思うものは有ってもとっておきたい本がそんなに有るわけではない、また良い本に興味を持ちとっておこうという人間も少ない。

田舎では本屋に都会並の品揃えはない。離島では本土へ行くのに費用も大変である。本選びを楽しむことも容易で無い。だから無料貸し本屋に希望をだし読んでとっておきたい本があったら自分で取り寄せれば良い。他の人の希望した本にまで試し読みの範囲を広げられるところも良い。当地では無料貸し本屋の存在は意義があると思うのである。

 
 Home   back