屋久島生活の断片・日誌編
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No.17 防災訓練のこと (H12.08.27)

8月20日町の総合防災訓練が行われた。課題は情報練達、避難誘導、救出・救助、初期消火の各訓練とうたわれている。私の住む地区は事前ビラで住民は当日朝8時30分のサイレン等の合図により区の公民館(生活館という)広場へ班長の誘導で避難集合せよとの案内があった。一般住民は避難集合するだけで良い。わが班は班長から各自で避難せよとの事前指示があるので妻と二人で生活館まで行った。あとのことは区役員、消防団員、役場職員が実施したと思う。また消火訓練は消防団員の指示でデモをしたりその見学をした。

上: 生活館へ避難集合

 下左: 放水訓練

 下右: 消火器使用訓練

訓練は参加するものがあるシナリオのもとでそれぞれの役割や行動基準を確認するものである。我々の班は500M四方はあろうかという広さに点在しているから班長の誘導で避難というのは現実的でない。班長の各自で避難の事前指示は適切である。昨年私が班長だったが同じように指示した。

私はまた昨年広場に到着したら班長にその旨申告せよと指示した。避難集合の訓練ではまず人員掌握が大事である。全員いればOK。いなければ何らかの対応を要する。対応は本部が判断するだろう。だから一般住民は人員確認、報告の手順を理解し実地確認することが訓練の眼目と思ったからである。昨年班長への事前の訓練展開説明でもその辺がはっきりしていなかった。ビラなどから見ても今年もなかったようである。単に誰かが人数チェックしているだけのようだった。

また気になっていることがある。私の家の周りには寝たきりに近い人がいる。一軒はご婦人1人が同居である。もう1軒は当該者を残しあとの家族全員勤めに出ている。こういうところを区として把握し対応手順が確立しているのか。わたしども夫婦2人でなんとかしようとしても力不足は否めない。電話も使えなくなれば連絡も出来ない。本部要員の伝令が確認に来るなどの訓練およびそれに対応する一般住民の行動訓練も必要ではないか。

各戸情報マップや区特有状況への対応行動基準の整備、確認も防災訓練の必須事項と思う。これは訓練時ではなく日常の区活動の産物である。また組織編成と情報連絡網の機能確認は訓練内容にうたわれているが、上方向だけでなく下方向のことも必要ではないか。そうでないと一般住民が参加しての訓練には片手落ちである。町と区の上部だけの機能確認のために一般住民をただ動かしているわけではあるまい。本当に災害が発生したら人員掌握だけでも大分てこずりそうに思えるのだが。

区長は終わりの挨拶で来年はもっと地域の実情にマッチした訓練を企画したいと言っていた。来年は一般住民も自分たちの期待されていることを実地確認できるだろう。慌てているときは臨機応変も難しいので平静時確認しておくほうが良い。

もう一つ、消火訓練の時区長が消防団員も仕事を持っている。災害時集落にいるかどうかわからない。一般住民も消火栓など使えるように憶えてほしいと言った。ある人から消防団員には災害補償があるが一般住民にはどうかと質問があった。まあない。聞くのがおかしい。区長は最後に言った。消防団員はことあれば生命の危険を顧みず皆さんの生命財産を守る気持ちでやっていると。涙がでた。こんなことを区長に言わせる住民が情けない。

ところで屋久島ではあまり災害の危険はないように思える。何万何千年の歴史で雨水の道は刻まれている。そして岩の島である。地震には大丈夫そうだ。津波はちょっと危ないかも知れないが家の場所を選べば良い。一番注意すべきは台風の大風だろう。家をたてるときは注意するにこしたことはない。

人工物には自然の歴史の重みはない。屋久島を見るところ崖崩れなど被害があるのは人が無理に手を加えた道路沿いである。家もまた人が作ったから自然の猛威をくぐりぬけてきた安定した造形物ではない。だから台風の大風が気になる。家のこと、大工のことが気になる。私がそれらに神経質になる所以でもある。

補足: 人員掌握のこと (H12.09.06)

今日のTVニュースによれば三宅島噴火災害で全島避難完了と言っていたにもかかわらず老人1人が猫などの世話をしなければならないと言って居残っていたのが発見されたとのことである。人員掌握はどうなっていたのか。泥流で死亡していたのを発見したら大騒ぎになっただろう。今あまり騒がれていない。しかし災害避難の基本的事項である人員掌握がおろそかだったことはもっと重大に受け止めるべきことである。

 
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