しかし、記事を見ているとどうも(1)のような活動を始めたい人々が参加しているような感じがない。いわゆる普通の移住希望者が参加していたような感じである。NPOは当地で有名な不動産業者肝いりの団体のようだから、いわゆる移住希望者発掘のために活動をしているように見受けられる。運が良ければ移住希望者の中に想定の支援対象者も出てくるかもしれないというところが実態かもしれない。
NPO自身も目標と現実にギャップがあることを自覚しそれを埋めようとしている節もあるようだが、私はNPOの活動対象がいわゆる移住希望者でよいと思っている。例えば現状、屋久島の就労人口と経済規模がバランスしているために、子どもは島外に流出しUターン者も少ないとすれば、「環境保全と地域経済発展の両立」は両立点の是非はあっても成立しているとみることが出来る。そして、そういう環境の中に住みたいと移住を希望する人がいるというのが現実で、そういう人たちを誘致すれば地元としても就労機会の増大あるいは子どもの島内就労やUターンも期待できる。各地での団塊世代移住者誘致活動もそういうことであろうと思われる。私はそれでよいと思うわけである。
さてここで、屋久島への移住者誘致の活動対象について考えてみる。ついては、移住したい人(含む法人)を次のように分類する。
1) 島内で仕事を得なければ生活が維持できない人
2) 島内で仕事をしなくても生活が維持できる人(島外から収入を得る)
3) 島内の住民などを相手の仕事を起業したいと思っている人
4) 島外者相手の仕事を起業あるいは持ってきたいと思っている人
(人員雇用も考えられる)
まず、「1)島内で仕事を得なければ生活が維持できない人」については、新たな労働需要が必要である。その需要増大の方策は、島内で回すお金を島外から得ることである。島外相手の既存事業規模の拡大、新規事業者(「4)島外者相手の仕事を起業あるいは持ってきたいと思っている人(要員雇用も考えられる人)」も含む)の誘致および「2)島内で仕事をしなくても生活が維持できる人(つまり島外から収入を得られる人)」の誘致である。直接的に島内で人員雇用するあるいは間接的にサービス購入で落とすお金が新たな雇用や「3)島内の住民などを相手の仕事を起業したいと思っている人」の誘致につながる。
次に2)〜4)のケースだが答えは上記の中に述べられたとおりである。そして移住者に活動対象を絞れば、以上のはなしから移住者として誘致すべき優先度は、「2)島内で仕事をしなくても生活が維持できる人(島外から収入を得られる人)」と「4)島外者相手の仕事を起業あるいは持ってきたいと思っている人」であるということになる。彼らの誘致の経済効果によって「1)島内で仕事を得なければ生活が維持できない人」や「3)島内の住民などを相手の仕事を起業したいと思っている人」の誘致あるいは子どもの島内就労・Uターン
も促進されると思われる。
ということで、手っ取り早いのは年金暮らしや金持ちで島内で働かなくても良い移住者を誘致すればよいわけである。彼らは環境負荷も少ないと思われる。ただ、その大部分を占めそうな年金暮らしなどはそのうち死ぬから長続きしない。またNPOの手には余る島外相手の既存事業(法人)の規模拡大や新規事業(法人)の誘致は一件でも効果は大きいだろうが、いわゆる普通の移住者の場合は何人もの移住で一人の労働需要が産み出されるくらいしか効果はないだろう。だから継続的かつ広範囲にいわゆる移住希望者を発掘する活動に行きつくことになる。NPOの活動の現実もそうなっているように見える。
補足: 最近気がついたこと (H20.05.19)
上記記事発信の頃はある不動産会社のブログ(上記記事のNPO関連ブログ)がNPOのブログを兼ねていて、私はNPOがその会社の営業部門のような印象を持っていた。その後NPOサイトのリニューアルがあって、不動産会社のブログはNPOと分離した運用・内容になったようである。