屋久島生活の断片・偏見ご免のたわごと編
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No.259 屋久島(141):すきま風のこと    (H20.01.07)

中国の歴史上の人物を題材にした小説か何かで読んだ記憶があるのだが、ある店で代替わりがよくある。それはなぜかというところがある。店の主人が帳場に座っていると後ろの壁の小さな孔か隙間からすきま風が入ってちょうど後頭部に当たる。その風は気づかぬほど弱い。そういう風に気づかずずっと後頭部にすきま風を受けていると次第に体調が悪くなってそのうち死んでしまうそうである。それがその店で代替わりしては主人が早死にすることを繰り返す原因だというものである。

さて、何年か前から私は風邪気味になることが多くなっていた。朝起きるとうすら頭痛いことが多かった。特に前夜風呂に入ってから寝るとその傾向が強い。頭が完全に乾いていないからかも知れないと一昨年からは夕食のかなり前の5時過ぎころを入浴時間にしている。それでもときどき風邪気味になる。

去年暮れのそれまでで一番寒くなると言われた日布団を一枚多く掛けて寝たのだが、縮みあがるような震えが来て何回も続いた。布団が暖まっていないからだろうと丸まって身体をこすっていたら収まったのだが、そのとき後頭部首筋のあたりが一瞬冷やっとしたのである。震えがないときでも冷やっとしたことは以前からある。前からどうもすきま風がどこからか吹いてきていて小説のように良くない質のものではないかと気になっていたのである。

私の寝室は頭側がクローゼットになっている和室である。畳の上に布団を敷いて寝る。ムカデが天井から落ちてきて顔をかまれた後天井周辺の隙間はクラフトテープを張って塞いだ。ヤスデが畳の隙間から出てくるのを見て畳を剥いで部屋の周辺部はクラフトテープを貼り他の部分は新聞紙を敷いたり挟んだりして隙間を無くした。それでもムカデやヤスデはどこからか侵入してくるが、上や下からすきま風は入ってこないはずである。

だから頭部に当たる風はクローゼット(その向こうは外である)の開き戸の下側の隙間からの可能性が高い。引き続き天候大荒れで大風が吹いている翌日、仏壇の線香立てに線香を立てその煙のたなびき方で風の来る隙間を見つけることにした。普通はゆらゆらと煙は上へ上るのだが、やはりクローゼットの戸の下側で煙がかすかに部屋の内側に揺れる。戸を開け吊してある衣服をどけて煙が傾き流れる反対側へとたどっていくと棚の下部、壁が床面から立ち上がる部分が長さ10cmくらい高さ最高で1mmくらいの隙間になっている。風はそこからかすかに入ってくる。

隙間の発生原因は作り付けの棚の下の床が壁材の下端より沈んだためである。大分前からそうなっていたと思われる。我が家は人目につかない壁や人が乗らない床あるいはクロス張りの壁の下地は2mmか3mmくらいの合板である。隙間のできた壁と床もその合板である。そして棚は根太の上にその当たり面が配置されていない。だから多分品物の重みで床合板が変形し沈んだものと思われる。手の届かぬ隙間にはガムテープを折り曲げて棒で押し込み、手の届くところはクラフトテープで目張りをした。そうしたら、その夜も前夜に変わらず寒かったにもかかわらず、寝てから翌朝まで小便に行くこともなく寝ることが出来たのである。やはりすきま風侮るべからずのようである。

寝室以外なら我が家はすきま風だらけである。盛り土してすぐ家を建てたせいか地盤沈下して基礎コンクリがひび割れ、家の西側は少し傾いている。サッシ戸にも隙間、内側の障子戸にも隙間が出来ている。安いサッシを指定してしまったためか台風などで変形した入口ドアなども鍵はかかるが隙間がある。居間の壁は杉板である。板と板は切り欠きでかみ合うようになっているが木だから時とともに変形し隙間になるところも出てくる。強風が吹くと床下通風口から入った風が壁裏に回ってその隙間から室内に入ってくる。強風の時は暖房も効きが悪くなる。

もうその機会はないだろうがもしもう一度家を建てるなら、冬のすきま風対策だけとは言わず、地盤固めと土地排水対策、境界段差対策、植木の選定、台風対策、雨期の湿気対策、洗濯物干しの雨対策、雨漏れ対策、夏の暑さ対策、給湯設備の選定配置、給水管レイアウト、配水管レイアウトと異臭対策、電力線引き込み方法、電力・通信・放送関係屋内配線レイアウト等々、当地へ来てこうしたいと思ったことを盛り込んだ住みやすい家にしたいと思うことしばしばである。しかし多分相当高くつくと思われる。


 
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