屋久島生活の断片・偏見ご免のたわごと編
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No.246 最低でものこと  H19.06.18)

水商売で名をなした人物率いるグループが水商売感覚で介護事業を経営していたみたいな印象を受けるコムスンの介護保険料の不正請求事件が大問題になっている。不正は不正として咎められなければならないが、介護事業をまともにやっていくには今の制度ではうまくないという現実もあるようである。介護保険給付水準の抑制が効き過ぎている嫌いがあるらしい。

そういう報道の中でコムスンの介護最前線で働く人たちがその仕事で得る収入は月15〜16万円ということで、少なすぎで働く意欲や将来安心の展望を保てるかは疑問であるというようなはなしもあった。介護の最前線で働く人に適正な収入を保証することと、介護を必要とする人の実態あるいは要求に見合ったサービスを保証することができないと介護事業はまともな事業にならない。

はなしは変わるが、あるTV番組で見たところでは若年ホームレスも問題になっている。住む家もなくアルバイトや派遣の日雇い仕事で収入を得ているのだが、毎日の寝場所代や食事代その他出費と仕事にあぶれた時のための備えだけでかつかつで、定まった住居を得る余裕がないからそれを根拠に定まった職につけない。だからその状況から抜け出せないということらしい。病気にでもなったら目も当てられないことになりそうである。そういう状況から抜け出すにはそれなりの収入が必要だが、アルバイトの時給が低かったり派遣会社にピンハネされて本人に渡るお金が少ないのが現実らしい。

民主党は最低時給を1,000円にしようと言っている。派遣社員のユニオンでは時給を1,200円にしろと要求しているとニュースで見た。働ける人が働いている間生活でき老後働けなくなってからも生活できるには、本当はどのくらいの時給(あるいは月給でもよいが)が最低必要なのか気になるところである。

国家で最低生活をするのに必要と設定している具体的額として生活保護費を考えてみる。ある30代の病気療養中らしい人の生活保護状況を公開しているブログを見ると今年3月の収入は、「年金(障害基礎年金)2ヶ月分が132,016円、生活保護からの支給が1ヶ月分92,372円」だから、「1ヶ月分にすると158,380円」。それでどういう出費状況かというと、「家賃が55,000円、光熱費が10,000円、食費が35,000円、通信費が15,000円、日用品が25,000円、そして貯金が10,000円」とある。(医療費はすべて生活保護制度でまかなってもらえるので支出に影響ないようである。)

借りているにしろ既に住居は確保している病人で医療費を除き1ヶ月約16万円の収入がある。1日8時間月20日として時給換算すると1,000円(1日8,000円)ということになる。25日とすると800円(1日6,400円)である。既に住居を確保できている場合は上記の病人の例から見て何とかやっていけそうである。その病人と同様にコムスンの介護最前線で働く人たちがその仕事で得る収入は月15〜16万円ということだが、そういう人たちも住居を確保しているから生活が成り立っていると思われる。派遣の仕事での生活も住居を確保できている人は成立可能ということになるようである。

しかし若年ホームレスについて見てみれば、1日6,000〜8,000円くらいもらっても泊まり場所に2,000円、外食での食事に2,000円、仕事先への交通費や連絡費、洗濯代はいるだろうし、毎日は出ないがまとめて出る被服費その他の出費、仕事にあぶれたときの予備費(それには病気になったら医療費は生活保護の人や健康保険に入れる住処のある人と違って全額負担しなければいけない分も含める必要がある)を考えると綱渡りの毎日だと思われる。

TV番組では根拠となる住居を用意する施策や定職を探す余裕を持てる収入を保証しないといつまでも漂流し続けることになりそうということである。少なくとも住居を得れば転入し住所ができる。定職に就ける可能性が増すし、自炊もでき節約の可能性も出てくる。健康保険にも入れる。最悪事態になれば生活保護も受けられる可能性が出てくるということらしい。

ここで時給についての世の中に出回っている数値を考察してみる。民主党は時給1,000円にすべしと言っている。その民主党が言う最低時給は 厳しい条件側ということで常雇いが条件で1日8時間月25日働いたケースかと思われる。生活保護相当の800円から1,000円にと言っていると見れば1日8時間月20日を基準にせよ言っているのだととれないこともない。派遣社員のユニオンの1,200円はきちんと働ける人には最低でも生活保護相当の時給より多めの時給を支給せよということだと思われる。

上記の生活保護を受けている病人の例の月16万円が最低生活費と考えると、普通の人はこれに医療費、将来の家の購入資金のための貯蓄、車が必要ならその購入費や維持費そして年金掛け金、健康保険料などの上積みが必要になってくると思われる。(ただし福利厚生・寮・社宅・社内食堂その他諸々の制度で負担している分が多い会社などでは生活保護相当より低い給与というケースもあり得るから、会社などが目に見えず負担しているものはないという前提が本文のはじめからあることをお断りしておく。)

例えばそれを合わせて月25万円くらいになるとする。1日8時間月20日を基準にすれば時給約1,300円、月25日基準とすれば時給1,000円くらいになる。派遣のユニオンや民主党の言う時給1,200円あるいは1,000円というのは、住居ありの常雇いを条件とした場合には人の世話にならず暮らしていける最低時給として説得性のある数値のように思われる。
 

補足: 最低生計費のこと  (H20.12.09)

昨日労働運動総合研究所などが首都圏では初めての最低生計費の試算結果を公表したとの報道があった。テレビやパソコン、洋服など500項目の持ち物調査や外食の割合、値段など生活実体を調査する方法で、東京、神奈川など首都圏4都県の2039人から回答を得て試算したようである。

それによると、首都圏で20代の男性が最低限の生活を維持するには時給1345円が必要ということである。(なお、現在の東京都の最低賃金は時給・766円)

・20代男性単身世帯では、月額で食費3万9564円、家賃5万4167円、教養娯楽費1万8273円などで計23万3801円。労働時間を最低賃金審議会で使った173.8時間とすると、最低賃金・時給1345円が必要という計算になる。(試算には税、社会保険料金・4万2395円も含まれる。)

・30代母子家庭(月額35万512円)
・40代夫婦子供2人(月額56万3652円)
・70代単身女性(月額20万4815円)


 
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