屋久島生活の断片・偏見ご免のたわごと編
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No.209 屋久島(116):頼まないでのこと  H18.06.05)

移住してきて間もなくの上京する用事ができたときのこと、上京するのがうれしく合う人毎に上京するのを話題にしていたら、ある人から上京したら何々を買ってきてと頼まれたことがある。ありきたりの品物なので指定のスペックを言われて何も考えず簡単に引き受けてしまった。

ところが上京して手近な店屋に行って探しても指定のスペックのものがない。何軒も探し回ってもない。それで最後の店に聞いてみるとそれは特殊だということである。半日探してないので諦めたことがある。

帰ってきてその旨告げてしばらくした日、その人の家に行くと頼まれた品物がある。しかしそれは私が指定されたスペックのものではない。屋久島でも売っているものである。私はこれでいいのかと言ったら、欲しかったのはこれだと言う。それを聞いて私は少なからず費用をかけて上京したその半日を費やした頼まれものが軽い気持ちで適当に頼んだものだということが分かったのである。

妻も旅行に行くと言って、それならあそこの有名なあれを買って来てと頼まれたことがある。簡単に土産物屋で売っているのかと思ったら、さにあらず、それを売っている老舗を探し回る羽目になって多大の時間を費やし、旅行の目的を果たす時間を大幅に犠牲にしたということである。

海外旅行に行くときも、あの国に言ったらあれを買って来てなどと頼む人がいる。外国へ行くには相当費用がかかる。頼まれた品物を探すのに結構時間がかかるものである。品物探しに高い金を払って外国へ行くのではない。お土産を指定するよりは買ってきたものを黙って貰って喜んでくれるのがよいのに、簡単なことのようにものを指定するから困ってしまうのである。

こういう類の簡単に自分都合で人を使おうという人が結構居るのである。軽く何々してくれと言うのである。人がそれなりの費用をかけて何かしようとしたり努力して手に入れたりしているのに、それにただ乗りして簡単に買って来てとか貸してとか、人の時間や入手の苦労・費用に無頓着なのである。人がどれだけの犠牲を払い負担したものかということに想像が至らないのである。

気軽に買って来てと言われて簡単に請け合って苦労したり、やっとの思いで手に入れたものをいとも簡単に貸してと言われて断りきれずいやな思いをして、いまでは我が家では上京など旅行するとき人に簡単に物を頼まれない、道具その他便利なもの、手に入りにくいものを簡単に貸してくれと言われないようにしている。つまり何をする、何を買ったなどあまり言わない。

また頼まれてもその気のないものははっきり応えない。その訳は頼まれて断る方も断られる方もお互いにいやな気分になるからである。それがいやである。だから、旅行に行くと聞いて人にあれを買って来てなど、人に便乗してものを頼む前に相手の負担をよく考えて欲しい、簡単に頼まないで欲しいと思うのである。勿論我が家では、簡単に遠くに行く人に何を買ってきてとか、人が何か買ったらすぐ貸してとか言わないようにしている。


 
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