屋久島生活の断片・偏見ご免のたわごと編
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No.203 男は黙ってのこと  H18.03.13)

今年の通常国会冒頭で民主党が偽メールにだまされ裏づけも取らずその情報を信じ込んで自民党を追求、しかしガセネタと逆襲され確証を示せず自滅してしまった。メディアではこの騒動で民主党執行部がエリートと呼ばれる社会経験の少ない若手になって実務能力・知恵が伴わないわりに粋がって功をあせっているとその幼稚性が指摘されたりしている。

以下は、2年位前に書いてそのまましまっておいたものだが、今回民主党の永田議員とか若手執行部に持った印象と合い通じるところがあるので、引き出してみたものである。

(本文)
当地へ来て設備関係の作業員で働き始めたある事業所での開業前のまだ体制が整わない時期、本社から社内エリート層らしき若いのが応援に来たときの話である。どこそこで何の工事があるという連絡があって、彼が現場で勉強がてら実物を見てくると周りを誘ってでかけたあとのはなしである。

私ともう一人くらいは行かずにほかのことをしていたのだが、帰って来て彼が言うことにはお前たちはやる気がない、何で勉強のために行かないのかと非難する。私たちはそういうものは知っているのである。自分が知らなければ他のものも知らない。そういう感覚で騒ぐのに閉口したことがある。男は黙ってXXビールの美学はもうむかしのことであると思ったのである。

昨年(注:2004かと思われる)秋ごろのことだが、企業で爆発や火災事故連発の感があった。あるTV番組では、経済低迷により設備が古くなって不具合が起こりやすくなっているのに、長年培った勘で兆候を感知し事故予防をしてきたベテランがリストラなどでいなくなってしまったのもその原因の一つではないかとコメントしていた。

今まで事故がなかったことを、上層部が黙って仕事をしてきた人の力であることを理解せず、技術伝承することなく世代交替を進めてしまったツケかもしれないというTV番組の見方は説得性がある。

経験のないものはその事実が目に見えてからでないと分からない。だから感受性を養うのに教育訓練をする。それで自分がまだ分からないことが多いのだと知れば、まだ勘は養われていなくても気をつけようと観察し分析する姿勢も出てくる。しかし教育訓練をパスしただけで自分は一人前と錯覚した人間も出てくる。そういう人間は、危険予知して予防策を講ずることもせず、ことが起こってから大変だ大変だと騒ぐわけである。

その辺を注意して見ていないと、自分が知らないことは人も知らない、人がやって何も問題が起きていない仕事は自分の仕事より易しいと思い込んでいる、そしてうまくいかないことがあるとまわりを巻き込みながら大変だ大変だと騒ぎまわる、そういう人間を仕事が出来るやつと見てしまうことになる。しかし知識や能力があるものはそういう人間と同じ仕事をしていても黙って問題無しに済ませているのである。

男は黙ってXXビール、物言わぬ本物を黙って見分ける、そういう男がいなくなったところに失敗や事故が連続発生しているのではないかと思ったりしたことである。
(本文以上)


 
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