屋久島生活の断片・偏見ご免のたわごと編
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No.161 乱暴なこと H16.11.16)

11 月のはじめの週、朝日ニュースター「ニュースの深層」でその一週間小泉内閣の徹底分析とかいう特別企画があって、何曜日かの衆議院議員・河野太郎氏と政治 評論家・森田実氏がゲストの際、小泉首相の政治姿勢が話題になった。以下、実際の言葉は正確にどうだったかと言われれば困るが、二人の発言については私が 聞いていてそんな感じに受け取ったということでのはなしである。ただし私としては自分の受けた印象に自信はある。

森 田実氏が、与党議員にも反対者が多い政策を総理が自分ひとりの考えで推進するような状況を嘆いて、議院内閣制なのだから総理は少なくとも与党議員に政策を 説明し支持を得るとか調整するとかすべきである。与党議員の投票で総理になったのであって、国民が直接総理を選んだのではないから、国民の選んだ国会議員 によく説明し理解を得る努力をしなければいけないというようなことを発言した。

河野太郎氏は、強い口調で機関銃のように、首班指名後は総理自身の政策を実行すればよい。与党議員でもそれに反対なら法案に反対投票すれば良い。国会で法案成立しなければ総理は解散選挙か総辞職し責任を問えば良いのだ、と反論した。

森田氏は、党議拘束があるでしょうと言ったが、河野氏はそれに対し、党議拘束は関係ない、やろうと思えば造反はできるのだからと、強い口調で機関銃のようにまた同じ主張を繰り返した。

私には、河野氏の機関銃口調の話しかたは、論拠を挙げて議論するという姿勢ではなく、異論に高圧的発言で口封じしようとしているように見えた。そしてその後の森田氏はこりゃしょうがないはという顔で深くこの問題を議論するのをやめてしまったように見えた。

河 野氏は、党の事前了承無しに法案を国会審議に回せないでは、思い切った政策を打ち出しにくくまたスピーディな政策実行が阻害される恐れのある今までの自民 党のやり方を変革しなければという信念から、そう主張しているものと思われる。変革しなければという意見は私も正しいと思う。しかし、森田氏の言うよう に、河野氏の言い分は乱暴な言い方である。

多 分森田氏が言いたかったのではと私が思うことは、総理は選ばれてしまえば与党議員と相談もせず自分の考えだけの政策を思い通り推進してかまわないというこ とを主張するなら、それにはまず率先して自民党を党議拘束しない党に変革しなければならない。それが実現していない今、与党議員も勝手に自分の判断で投票 できるのだから造反したければすれば良いのだとは乱暴なはなしである。あなたの主張実現のための課題を横において、理想だけを述べれば良いというものでは ないでしょう、ということである。

党 議拘束しない与党ということになれば、総理はまず与党の支持を得るためによく説明しかつ意見も聞いて政策決定するはずである。私のような一国民としても、 総理の政策で議員を選んでいるのではない。またマニフェストだけが政策で全議員が同じ主張をしていたら、陣笠議員を選ぶのが選挙で、なにを頼りにすぐれた 政治家を選べばよいのか。私ならなるべく政治家それぞれの独自の政策や思いに共感してあるいは支持して国会議員を選びたい。

日 本の議院内閣制では、多数党が党内で選んだ党最高責任者を総理に選ぶ。しかしその総理を支持する人だからという理由で、国民は個別の与党議員を選んでいる とは限らない。国民の多くが反対したり国民が選んでいない総理に国民の選んだ議員(少なくとも与党議員)が大勢異議を唱える場合は議論を尽くすべきであ る。党議拘束のシステムがあるならなおさらである、と私は思ってしまうのである。

私は、物言いもしっかりしているので河野氏には注目しているのだが、森田氏との議論で理想声高で意見を異にする人に強圧的に反論する様子を見て、老害政治家も困るが今後は良いことを言う若手の政治家もよくよく注意してみて行かねばという気になったのである。


 
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