10月中旬のことである。多分ニュース番組だったと思うが、ある新製品を紹介していた。その後TVで見ることもなかったから、新製品開発の発表を報道したものの、あまり人の興味を引くようなものではなかったので他のもっと重要と思われるニュースに追いやられて、一回限りの話題になってしまったのかもしれない。
この新製品は、Witness(目撃者)という名である。CCDカメラでの動画をメモリーする装置で、例えば車のフロントガラスに付けて置くと、前方の状況をある時間分エンドレスで動画記録できるから、車の衝突信号で衝突後何秒かで記録を止めるようにしてあれば、衝突前後の一定時間の状況が画像として記録される。衝突事故の目撃情報としてそれを使えるというものである。
このニュースを見て、私が20何年か前、多分30年前までは行かないころの会社時代に、似たような考案を出願したかあるいはしようとしたことを思い出した。車の前方にカメラを着け、常時動画撮影する。メモリーは一定の時間分の画像を記録するようにして満杯になったら古い画像から消して、常に最新の画像だけが残るようにする。車の衝突信号入力後何秒かで記録動作をやめる。そうすれば衝突前後の一定時間分の画像が残るというものである。
当時はマイコンが出て大分たったころで、パソコンははしりが出てきたかどうかという頃のことだったような気がする。所属部署の特許出願目標の足しにと思いついたもので、既出願の類似考案を調査したわけでもない。内容的にも特許と言うほどのものではないし、出願実績を稼ぐため多分実用新案ということで出願依頼を出したのではと思われる。今もそうだと思うが当時は特許部で内容を審査する。その結果出願取りやめになったという記憶はないから、出願したが多分権利は取らず公開しておくに留めたのではないかと思われる。実用新案公開広報を調べれば出ているかもしれない。
このような装置は飛行機のフライトレコーダーに似て、車に採用すれば衝突事故の調査や裁判に役に立つ。アメリカの自動車安全基準で車に装着を義務付ければ、世界中に広がるものと思われる。いまは携帯電話で動画も取れる。今回のような画像記録だけなら携帯のようなこまごまとした機能はいらないし、超小型でコストもべらぼうに安くできるはずである。