屋久島生活の断片・偏見ご免のたわごと編
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No.136 ドラマのこと H16.01.26)

娘が年末年始わが家に来ると、忙しくて見られなかった番組を録画したテープをいっぱい持ってきて、それを見まくるのがここ何年か続いている。友人に頼んで録画してもらっておいたものらしい。いつもは私から見れば出演者目当てのドラマなどだから、TVが占領されているのを横目で見ながら孫と遊ぶのだが、今回は私も一緒に見入ってしまった。孫はママはTVばっかりでしょうがないねえと言いながらも、日頃忙しいママにゆっくりビデオを見せてやりたいと言う感じで妻の台所仕事を手伝っていたそうである。

今回のドラマは「ブラックジャックによろしく」(全11話)と「僕の生きる道」(全11話)だった。だんだん年をとってくれば命と死を意識し今日を生きることを考えるようになる。両方ともドラマドラマした筋書きだから、はじめは娘につきあって見ていたつもりが、だんだんのめりこんで見入ってしまった。娘と泣きながらドラマを見るというのも良い時間だったし、娘も父親が涙もろく泣くのを見て今までと違う面を見たものと思われる。娘は今回いつもより優しげな口のききようだった。

「ブラックジャックによろしく」は研修医が現状の医療の問題点や医師のあり方について、突っかかり悩みながら成長していく過程を描いたドラマである。体制に組み込まれてその中に生きることにいっぱいで自分の気持ちを偽って過ごしているという思いをちくりと刺激される。描かれているような人としての素直な気持ちを持っていながら、自分の言葉を言えない反省と代弁してくれているという共感で、受けるのだと思われる。ドラマを見て涙する若者が内面的には素直な気持ちあるいは正義感を持っているのだと思うと、今の若者も捨てたものではないという気がしてくる。

体制派の上司もいくばくか研修医から感化を受ける面を持っていることが表現されていて、人みな誰でもそういう素直な気持ちをもっている、世の中まんざらでもないと思わせる工夫もある。話の筋はわざとらしいとは思うが、私も娘と一緒に涙して見てしまった。

「僕の生きる道」はがんで余命一年を宣告された草g剛演ずる高校教師中村先生が今を生きると決意してから、同僚のみどり先生と結ばれ支えられて今を生きてなくなるまでの物語である。外国映画で生徒に今を生きろと教える高校教師の周囲との葛藤ばなしを見たことがあるが、このドラマは死ぬと分かってからの今を生きる愛の物語である。今を生きるいろいろなエピソードが出てくるが、みどり先生が自分も今を生きるために余命一年無いと分かっている相手と結婚する。私はきれいごとの筋書きだと思いつつも、そのみどり先生を見るためにこのドラマを見ていた。

その役柄と出演者のかわいらしさもあるが、私の知る範囲で、そういう人が実在したからである。相手ががんで死ぬと分かってから結婚し子をなし今は母と子で暮らしている人を知っている。どんな気持ちでどんな振る舞いをしたのか気になっていたのである。私はみどり先生の話し方や振る舞いに、本当はどうかと思いながらもそうあってほしいという気持ちをくすぐられて見ていたのである。

多分このドラマは愛の物語として受けをねらっているが、もう一つのねらいの今を生きるというテーマについて受けたかどうか私には気になるところである。愛のドラマとしてだけでなく今を生きるということについても、何かを感じこのドラマが受けたのならこれもまた、まだまだ今の若者も捨てたものではないと思うのである。

「ブラックジャックによろしく」で印象に残った出演者としては舞台回しナース役の鈴木京香である。研修医に問題の糸口を示唆する現実的対応力があって表向き冷たそうだが内面は暖かいという役柄の彼女をCMで見るより良いなと言いつつ見ていた。「僕の生きる道」ではみどり先生の矢田亜希子である。ファーストキスをするまではそんなに気にならなかったのだが、それ以降の彼・中村先生への話し方や「はい」という感じがなんとも言えず好きになってしまった。みどり先生目当てで最後までを見た感もある。


 
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