屋久島生活の断片・偏見ご免のたわごと編
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No.129 年金ばなしのこと H15.10.06)

このところ国民年金保険料を払わない人が多くて、強制徴収の話も出ている。基礎年金のみ加入の人で保険料を自分で納入しなければいけないことになっている人に納入しない人がいるということのようである。それを聞いての感想である。

最近は能力給ということで同じ職種なら年齢に関係なく給料が変わらない方向になりつつある。そういう場合同じ職種を続けていけば年は経ても収入は大して増えないと思われる。もし自分がこれからそういう世の中で働くとすれば、多分競争意識に欠ける私は最低レベルの給与で基礎年金のみ加入の境遇になる。そう思うから保険料を払わない理由が気になる。

収入が同じでも境遇が違えば出発条件が違って負担が多い。よく本などに出ているが普通の生活をするにはまだ不足といわれる厚生年金だが、その厚生年金の平均20数万円相当を確保することを考えても、給与が同じとすれば厚生年金は会社負担率が多いのだから基礎年金のみ加入では不利である。また後ろに国が控えている厚生年金の資金運用失敗は給付に影響が少ないが、個人運用ではより影響が大きく不利と思われる。その不利は自助努力で補えということのようである。

ところが自助努力のことである。TV番組で改革の一案として基礎年金の税負担方式と厚生年金の社会保険方式の二階建て論を紹介していたが、その際の厚生年金は自助努力と表現していたのである。この論で行けばいまの保険料を納めた期間に見合った給付の基礎年金も自助努力の結果という見方も出来るが、それはさておいて定額給付の基礎年金に対して報酬比例の厚生年金が自助努力だという見方として、いまの厚生年金に当てはめれば基礎年金を上回る分は自助努力と見なすと同じことになる。つまり自助努力というのは厚生年金などに入っている職場に就職することである、あるいはまた厚生年金などがなくても厚生年金に対抗できる老後資金を手当て可能な高い収入を得る仕事に就くことを意味していることになる。そもそも自助努力とは仕事の選択ということになる。

自助努力とは資金を貯めたり運用することではない。そうする以前に決まっている条件のことである。高収入を得られる仕事に就きなさい、厚生年金などのある職場に入りなさい、給料など収入が多くなるように努力しなさいというのがいまの年金制度だということである。基礎年金のみ加入の給与の低い人は自助努力の足りない人の最たるものだと言っているのである。これが気にかかるところである。昨今多くなったといわれているフリーターはさしずめ自助努力の足りない人だということのようである。

厚生年金などに加入していない人に国民年金保険料を払わない人が多い対策として強制徴収の話も出ていると言うが、いまの基礎年金のみ受給では普通といわれる生活をするに貯えた資金で賄う割合がかなり多い、というよりは貯えた資金を基礎年金で補完する老後生活ということになる。財政破綻が必至という見方もあるいま、掛け金より多くの年金支給が保証されると言われても、老後資金を全額自己責任で貯めたり運用することに賭ける人が出ても不思議はない気がする。そういう人のなかにはもしかすると自助努力が足りない人と言われて受けて立った人もいると見ることも出来るのである。


補足: 国民年金では暮らしていけないということ (H16.03.09)

今日、テレビ朝日「スーパーモーニング」の「議員年金廃止か存続か」というテーマの議員討論コーナーを見ていたら、そこで流されたVTRインタビューである党の幹部らしき議員が個人的意見として「国民年金だけでは暮らしていけない」と議員年金廃止に否定的な意見を述べていた。

それだけでは暮らせない国民年金しかあてのない国民がいることを承知で、その議員は自分は老後を安心して暮らせる上乗せのお金(議員年金など)が欲しいと言っているようである。国民年金というのは自助努力で用意した生活費のたしまいにしか過ぎないと白状したも同然である。

河村たかし議員が言うには、国会議員は国民年金と議員年金の二つの年金をもらえるようになっているらしい。議員年金を廃止して議員が国民と同じ年金制度だけになれば、年金問題を自分のこととして考えるようになるという河村氏の言葉には説得性がある。

総理を狙う男・河村たかし、議員年金廃止を主張して1年前はうつけもの扱い、それが今スーパーモーニングに出た各党みな廃止賛成、尾張の男は大化けして織田信長になるか。

ところで言っておきたいが、私は国会議員が引退後満足な生活ができないようならそれは国の恥であると思っている。その対策は別に考えればよい。議員年金廃止で年金制度論議ががもっとよい方向に行くことを期待しているのである。


 
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