屋久島生活の断片・偏見ご免のたわごと編
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No.116 女の自立のこと H15.04.07)

今でも妻から蒸し返される話題がある。女の自立の話などが出ると必ずのように言われる。結婚して数年目、私の母ががんで手術をし退院後自宅療養することになって、妻に会社をやめて家事に専念してほしいと言うときに、「俺のほうが給料が多いのだから、そちらが辞めるのは当たり前だ」というようなことを言ったのが、尾を引いている。

妻の言い分は自立精神を維持するために働き続けたかった。給料の多寡を理由に会社を辞めてくれと言われて辞めて、それ以来の生活は自立とは程遠かった。その気持ちを少しは理解しろということのようである。

今なら私は髪結いの亭主にでも主夫にでもなってやろうじゃないかと言えるが、男は一家を養うものという概念に取り付かれていた私は、経済上のことにしか頭が回らなかった。それで「俺のほうが給料が多いのだから」ということになってしまったのである。その後の私が得たステイタスや経済力が妻に退社を迫った割りにたいしたことはなかったので私は妻に反論できないでいる。

ところで、女は自立したい。しかし社会システムの変革が進まなければなかなか難しいのが現実である。むかし裕福な家庭に育って結婚した上司の奥さんと話したことがある。その奥さんは上司たちのグループと付き合っていたが、上司を結婚相手に選んだのは先行き一番見込みがありそうだったからということだった。出世しそう、つまりは夫のステイタスを自分のものとしたり経済的に豊かな生活ができそうということのようである。恵まれた人でも自立の道を選ぶに躊躇する。

いくら自立といってもほとんどの女の男選びはだいたいこのようなことかもしれない。成功した実業家や地位財産のある男が美人あるいはかわいい女と結婚というはなしはTVや雑誌の話題だが、誰でも気は引かれる。男はかわいい女というだけでも好きになったら一生養って行く気になって結婚したいという気持ちが多いようである。こういう例が話題になるのは、男の魅力は経済力でそれに女は乗ると男も女も思っているということである。

髪結いの亭主ではないが、経済力がなくても好きな男なら自分が一生養ってやろうという女のはなしはなかなか聞かない。精神的にも経済的にも自立して男を頼らなくてもよさそうに見える成功した女が、一生養って行こうと好きになったかわいい男と結婚したような話題はTVや雑誌でも見ることは少ない。

例外なしとは言わないがTVや雑誌などを見てきた印象では、有名な社会的に成功した女でも結婚相手をと見れば、ほとんどは地位のある男だったり財産のある男だったりする。そのうえ年食った男だったりもする。そのステイタスとか経済力で男選びをしているようである。男選びから見れば女の自立は未だしの感がある。

一方男選びと言っても、男にその気が無ければ成り立たない。夫婦ともに働いていて、結婚当初と収入の多寡が逆転してきたときに、逆転されたほうが引け目を感じて拗ねるようになる。拗ねるのは男のほうが多いらしい。ステイタスの高低とか経済力の大小により女は愛情とか尊敬の念が変わる。それに男の方が敏感なのかもしれない。また成功を支えてきた糟糠の妻を捨てかわいい女と結婚する男もいる。これも女への引け目に男が敏感だからかもしれない。

男はかわいい男だけではいられない。女に引け目を感じると気がめいる。それで男が避ける。それが成功した女がかわいいだけの男でも好きになったら一緒になるということが少ない理由かもしれない。


 
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