屋久島生活の断片・偏見ご免のたわごと編
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No.114 屋久島(66):土地競売のこと H15.03.10)

2月末か3月初め頃、新聞に屋久島農協が何件かの土地を競売するという折り込み広告が入っていた。我が家でごみを捨てに行くゴミステーションのある空き地も対象になっている。はなしによるとむかしそこは平内のある区域の集会所が建っていたところで、跡地を共同墓地にするという話しもあったそうだが、いまは沙汰止みで空き地のままということのようだった。

その土地の競売について3月4日に中止を求める署名を求めて地元住民が回ってきた。6〜7人の発起人の名を連ねた別紙依頼書には、32年前建屋は農協に渡したが土地は自分たちのものあるいは使ってよい土地と親の代から言われているというようなことが書いてあった。夜風呂に入っているとき回ってきたので妻が見せにきたのをチラッと見ただけなのではっきりしないが、権利を証明するものがあるとは書いてなかった気がする。私は事実関係が分からないから署名は今はやめておくことにした。

農協が土地を競売するからには、例えば融資の担保で取った土地でその権利証を持っているのではないかと思われる。しかし地元民がむかしから使用してよい土地だと言われてきたとすれば、土地提供の契約書があるのかもしれない。あるいは誰かがごまかして売ってしまったか。区長は農協の理事らしいから、事情に通じているはずである。区長を介して調べたらどうか。その他いろいろ確認する法はあると思われる。その上で農協が横暴だと言うなら裁判所に差し止め請求したらと思う。

しかし、入札日がすぐで間に合わない。何しろ入札を今はやめてくれと農協に申し入れたいのでとりあえず署名をということで翌日また回ってきたが、署名しなかった。人の土地を自分たちに権利があると言うにはそれなりの根拠が必要である。それが分かる申し入れ文書が付属していれば納得して署名するというのが私の言い分である。

今あるごみステーションは土地が売られてしまえば、買主の意向により撤去ということになる可能性もあるらしい。そう言われると私は署名しないのがつらいが、ごみの収集システムのソフトは役場環境政策課の考えることである。従来から私は言っているのだが、人の土地に依存せず、ごみを捨てる人があまり遠くまでごみを運ばなくて良い、収集システムを考えて欲しいものである。

(追記1 H15.05.23) 今日又聞きの話では、土地は返ってきたということである。どういう経緯で、誰のところに返ってきたのか、その辺は分からない。

(追記2 H15.12.25
2〜3日前、新聞折込に不動産競売のビラが入っていた。JAがリストラで資産の整理をしている10件近い物件の一つとして件の土地も載っている。ちょっと気になる。


付録: 正田邸競売のこと

土地競売で思い出したことである。税金物納の正田邸が競売にかけるため取り壊されるという話がある。地元で反対、保存の運動が起こり、取り壊しが中断されている。報道などで見れば、皇后陛下の生家であり大正時代の建築として貴重だから残したいというのが反対、保存運動の理由らしいが、皇后陛下は保存を望んでおられない。

運動の本当の理由は、皇后陛下の生家という地元の名物がなくなると、土地柄のイメージが維持できないと心配しているからだと思われる。建物が文化財として保護すべき価値があるならとっくに文化財指定の話が出ていておかしくない。旧い家で文化財に指定されて、人が住みながら守っているところもある。そういうところは長い歴史の淘汰の結果である。文化財になるまで人が捨てがたいと守ってきたものなのである。また、明治村というのは聞いたことがあるが、大正村というのもあったりして、そういうところが買い取り移築しようと言っているようなはなしも聞かない。そんなに建物としての保存価値はないのである。

正田家がまだ住んでいて、家が旧くなったから取り壊し新しい家を建てるとなったとき、取り壊し反対、保存運動を起すなら、運動をしている人たちの目を信じてもよい。多分、反対運動は起こらないだろう。新しい家になっても、皇后陛下の実家に変わりはない。そう言ってここらは他の場所と違うのだと言えれば良いだけなのではなかろうか。そういう底の浅い要求に応じて公費を使うようなことは通るはずがない。

反対運動する人間が賛同する人から金を集め、買い取ろうという話もあるようである。誰かが買い取ったりして取り壊し回避や移築を幾度となく経て残るようならば、後世文化財としての価値がつくかもしれない。大正時代の建築様式として価値があるというが、今の世のものだから図面があれば様式や構造は分かるし再現も出来る。芸術作品でもなく、まだ100年もたっていない住宅に実物を見る特別なものがあるとは思えない。そういう家でも残したいから買うという人がいればその人に任せれば良い、買う人がいないなら取り壊しの上、土地競売で良いと思われる。


 
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