屋久島生活の断片・偏見ご免のたわごと編
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No.101 屋久島(56):ISO14001のこと H14.08.26)

屋久町広報誌7月号の議会だよりによれば、3月の定例議会でISO14001「環境マネージメントシステム」の認証を取得すべきと思うがどうかという一般質問があって、町長はそれに対し取得に多額の費用経費がかかると言われているから、環境マネージメントについては屋久町独自の取り組みを目指したいと回答したようである。

私はこの町長の回答を妥当なものだと思った。質問をした議員は誰かから陳情されて取得するということになればどういうことになるか、多分あまり深く考えず質問したものと思われる。役に立つことをやるのが良いかやらないのが良いかと迫られればやったほうがよいに決まっている。よく言われているが、そういう論法にはいつも費用や労力に見合った効用はどうかという視点が抜けている。町長の回答はそれを指摘して安易にお題目を唱えるのはいかがなものかと言ったものだと私は受け取ったのである。

新聞で読んだことがある。ISO認証取得にはそのための体制整備や費用が必要である。よく知らないが多分認証機関あるいはコンサルタントの定期的な指導を受けたりする費用や、認証審査費用、そして活動を推進する組織の維持経費や活動経費が要るらしい。取得しても定期的に認証適合性のチェックが必要で認証を維持していくにはまた費用が要るらしい。だから中小企業など人的費用的に余裕のないところはどうしようかと対応に苦慮しているとのことである。だから小規模な町、屋久町では必要な絶対的金額や人数は少ないかもしれないがその負担は大変なのだろうと私は町長の回答を見て思ったのである。

一方、企業と違って町の場合はやると決めれば予算を組む算段は県に話をもっていくなどしてなんとしてでもつけられるのではないか、そういう気もしないではない。もしそうだとしたら認証取得を考えないというには別の理由があるはずである。企業がクリアすべき最低要件のようなものは環境保全の最先端を行く屋久島が実践してあるいは目指しているレベルだと思われたくないという自負の表れならこれからに期待が持てる。

しかしその理由は、本当は、企業のように組織本来の利益を上げるという目的があってそれを達成する条件の一つとして認証取得が必要なのと違い、町ではまだその本来目的と環境との関係の整理がついていないからではないかという気がしないでもないのである。管理手法があると言われてもそれを適用すべき管理対象がはっきりしないのだから、言われて困るというのが、認証取得したらどうかと問われたときの本当の気持ちではないかと思えぬでもない。

もしそういうことでも私はそれで良いと思っている。屋久島は世界中で環境的に注目されているから関わってくる人や組織は多そうである。世の英知がこれから町のあるべき姿を描いてくれよう。私は人のふんどしで相撲をとるのも一つのやり方だと思っている。当面の施策は他の市町村などの実績を見てよいものを真似することでしのげばよい。町としてはそれくらいが精一杯のような気がしている。

我が家のあたりが利用するごみステーションは500mも離れたところに設置されている。ごみを持って歩いて捨てに行くには少々苦痛だから、車で行く人がほとんどである。しかし車のないあるいは運転できない人は歩いて捨てに行くかいつも気をつかいながら人に頼まなければならない。こういう状況が、私が引っ越して来てから7年を超えるがまだ改善されない。この事実一点から見ても、後者の勘繰りがもしかすると当たっているのかもしれないという気になるのである。

補足: こけおどしのこと  (2010(H22).09.20)

ISO14001導入を選挙公約に掲げていた町議会議員がいた。先の選挙とそれ以前のいつだったか、二回は見た。先の選挙のとき私はその候補に、それについて何か活動していた形跡もなく住民にも何のことか説明もしていないお題目を言うようなこけおどし公約は止めたがよい、真っ当な議員活動をせよと言った。そうしたら根にもたれたようでその後私を避けるようになった感がある。そしてまた、今もって本件について活動している様子は伝わってこない。


 
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