屋久島生活の断片・偏見ご免のたわごと編
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No.99 なんかおかしいこと H14.07.29)

むかし住んでいたところでのことである。隣家の主人はある有名会社の役員で、当時単身赴任で子会社の社長にでており、家にはその奥さんが一人で住んでいた。私の妻はよく隣家の奥さんが夫のもとへ行ったりする時に留守を預かったりしていた。奥さんは妻にお世話になっているとその夫によく話していたらしい。隣家の主人がある日帰宅した折に妻のところにお礼の挨拶に来た。そこに私が会社から帰って来て家の玄関で出くわした。私は挨拶をした。当然相手も挨拶を返すと思ったが平然として無視している。

私の感覚では、隣家に来てそこの奥さんと話していてそこへその夫がただいまと帰ってきたら、そして挨拶をされたら、挨拶をするのが当たり前である。有名会社の役員になる人間は自分の目的以外は全く関心がないらしい。こんなのでいいのか。こいつはなんかおかしい、そう思った。それが不吉の前兆の振る舞いだったかのように、その人は翌年本社に帰ることが決まって赴任先で最後の釣りを楽しんでいるときに心臓発作で亡くなった。

そのあと、隣家は結婚した子どもと奥さんが同居、我が家とは今までどおり親しげに挨拶を交わす状態が続いていた。しばらくしたら手狭になったか隣の家は建て替えることになった。そのときなぜか隣家は何の相談もなく我が家との境界柵ぎりぎりに家を建てたのである。柵際を通るには身をよじるくらいである。そしてそこに家族総出でしゃがみこんで草むしりのデモンストレーションをする。なぜこれ見よがしにするのか、なんかおかしい。

ところがこっちへ越してくる前年、我が家が住まいを処分するつもりとの話を聞いて、おまえのところは2M位越境している、処分する前に復旧してくれといってきた。そこで私は隣家がなぜ家を柵ぎりぎりに建て狭い隙間でわざわざ草むしりのデモンストレーションをするのかわかった。隣家の言い分が本当かどうか気になって登記所で周辺も含めて調べた結果、相手のほうが我が家へ越境しているのがわかった。それが分れば隣家が我が方へ土地を明け渡さなければならない。隣家は思い込みで越境して家を建て替えてしまったが、建っている家を削る訳にもいかない。そこで越境部分を我が家から買い取ることになった。

我が家に越境の疑問があったら確認してから建て替えればよいのに黙って柵ぎりぎりに家を建て狭い隙間で草むしりをしてプレッシャーを掛けていたつもりらしい。越境がわかってからも件の奥さんは時効じゃないのなどと往生際の悪いことを言っていたが、それなら我が家がもし越境していた場合でも時効じゃなかったのかという考えは浮かばないらしい。

この奥さんの家はその姉が前の持ち主で違う杭を自分の土地の境界だと何年も思いこみ妹に土地を取り返すよう言い含めていたらしい。見かけ上品で金持ちらしいが、隣家のやり方はいやらしい。何年も表面は親しげに付き合いながらなんとか我が家に思い知らせようとしていたのかと思うと気持ちが悪い。

以上一つのはなしである。なんかおかしいと思った話は他にもある。そして私がなんかおかしいと思ったときは、あとで相手がおかしいことになったりしたりすることが多い。

補足: なんかおかしいと思ったあとに起こった死
2021.04.18
乃南アサの短編小説「夕がすみ」というのを読んだ。かすみちゃんが「うんと強く思うとね、思ったとおりになるんだ」と言って、いなくなればいいと思った人が死ぬのを不思議がる。私の場合何回か、なんかおかしいと思ったひとがそのあと一年もしないで死んだことがある。そのあとなんか不思議な感じがしたことを思い出してしまった。


 
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