屋久島生活の断片・偏見ご免のたわごと編
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No.97 屋久島(53):工事差し止めのこと H14.07.01)

昨年はじめころから屋久町小島で県営畑地帯総合整備事業(地元では畑総と称している)の名のもと畑の造成工事が行われていたが、オンブズマンから計画が杜撰であると監査請求を受けて鹿児島県監査委員が最近計画執行の一時中止を県に勧告したという報道がある。

監査委員の調べでは現計画の採算性を検討している資料に実態と異なるデータを使用して計画推進の要件を満たすようにしていたとのことである。実際のデータでは要件を満たさないのでごまかして作成したらしい。

オンブズマンのビラによれば事業計画書というのは屋久町が鹿児島県土地改良事業団体連合会(工事看板などには鹿土改連と表示がある)に委託して作成したものだということである。その作成料が高いらしいがここで作成しないと県で取り上げてくれないからか、杜撰な計画でも見逃してもらえるからかそこに頼むという構図らしい。連合会は県が事業採択した後の実施設計も随意契約で一手に引き受け、工事も優先的に受注しているらしい。連合会会長は鹿児島県知事で幹部役員は県職員OBがほとんど、数年在職して多額の退職金を貰う天下り利権の典型とある。

以上しか情報はないのでそれをもとに想像する。事業計画書は屋久町で作成したということだから、屋久町でなんらかの効用があって、でっちあげの事業計画を作成してまでその事業をやりたかったということになる。地元の屋久町が問題の基礎数値を把握していないということは考えにくいからである。県職員やOBの利権構造に、どういう人がどんな役得があるのか知らないが屋久町も乗っているのではないのか、そう見えてしまうのである。

事業の収益予想が偽りで、地元(それが町なのか受益者なのかはっきりしないが)が負担する償還金や施設老朽化対応準備金がひねり出せないとなれば、自分はおろか孫子に負担を先送りすることになる恐れがある。しかし県がその計画を採択して町や集落の役員が動いて積極的に推進しようという雰囲気では、そういう恐れを感じていた人も表立って疑義を挟むことは難しかったのかもしれない。そういう人がオンブズマンに相談を持ちかけてことが表立ったのかもしれない。オンブズマンに自分で問題を探すのか聞いたところでは、それは少なくほとんど相談の持込みであるということだから、そんな気がするのである。

昨年の初めころ畑の造成工事が始まったころ「屋久島生活の断片」(No.37 H13.01.22)で工区周辺にかつて畑を造成したあとのような縁に石垣を積んだ段状地が雑木林になっていると書いたことがある。当時工事で土のいやな臭いが臭ってくることと、その畑のあとらしきものが気になっていた。もし畑のあとなら見捨てられている造成地があるにもかかわらずなぜまた造成するのか、工事をするための工事ではないかと気になっていたのである。

そこで今度の報道である。なんとなく自分の直感が当たったような気がしているのである。ところで田舎では公共事業で食っている住民が多いと思われる。地元住民へのお金の分配という観点からは、資材などにはあまりお金がかからないちょっとした仕事をいっぱい計画して、地元民を多く使い経費の大半を賃金支払いに当てるような事業をやればよい。それで公共事業の大方の目的は果たされる。しかし現実はそれなりの体裁の事業を計画しなければ中央から金を取ってくることはできない。それが本当の問題かもしれない。


補足: 違法支出金賠償判決のこと  (H16.12.23)

法律では、農家の負担金が重すぎるとき、町が一部を負担したり一時的に肩代わりしたりしてよいことになっている。その地元負担金は適正に処理すれば地方財政法の規定に基づき地方交付税の対象になる。然るに町は法律上許されない方式で処理し隠れ借金にしていた。ということでオンブズマンが一昨年の11月土地改良事業をめぐる屋久町の違法支出について住民訴訟を起していたが、日鹿児島地裁で、当時の助役と収入役(現在は共に退職)が総額7500万円余りの違法支出金の全額を町に賠償すべきとの判決が出たということである。  


 
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