屋久島生活の断片・偏見ご免のたわごと編
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No.95 屋久島(51):予約制中止のこと H14.06.03)

屋久島に総合病院がひとつある。出来たころ診察は到着順であった。早く診察を受けようと35kmの道のりを朝早く行くが、皆同じ思いか早く押しかけるので受付の順番が後になると朝8時に家を出ても家に帰るのは午後1時過ぎることもあった。

何とかして欲しいと思っていたら、混む診療科では予約を受け付けるように改善されたというはなしが伝わってきた。大分前のことである。良かったと思いつつもあまりその後行く機会はなかったのだが、あるときからまた2週間に一遍先生が来る診療科にかかることになった。そしてそこが予約制になっていたので非常に助かった。指定の時間に行けば待ち時間が少なくなりイライラも少なくなる。だが最近その予約制で通院していた科が突然予約制中止、到着順診療にするとのことである。

私は到着順の患者の待ち時間不具合を改善するために予約制にしたものをなぜまた元に戻すのかとクレームをつけた。理由をきけば老人の患者が多く診察予定時間を前もって割り当てて紙まで渡していても、朝早く来てしまい事前の尿検査もすませては予約時間に関係なくまだかまだかとうるさく言うので困ってしまって暫定的に到着順に戻すことにしたとのことである。

時間を守らず早く来て遅い遅いと言う人を救済するために、時間を守ってきちんとやっている人を犠牲にするかのようなことはおかしいのではないか。初診の人は適当に順番に割り込ませれば予約制は問題なく機能するのではないかと言っても、元に戻らない。理屈のきかぬ老人をどうも説得しあぐねてしまったらしい。医者に最後の時間あたりに来てくれれば待ち時間が少ないから協力してくれと言われてはいたしかたない。

その後平日通院することがあった。帰りが遅くなる気配があったので帰りは妻に車で迎えに来てもらうこととして、往きは家の近くのバス停8時18分通過の病院の送迎バスで行くことにした。バスは中型だが途中乗り込んでくる人でいっぱいになる。4人掛けのところに5人座るほどの混みようである。

乗ってくる人はほとんどが老人である。老人にまだ遠いと思っている60歳の私が老人と呼ぶのだからかなりのお年の人が多いのである。そこではたと思ったのである。平日は家のものは働きに出ている。老人が通院しようと思っても送ってもらえない。勢い一便しかない無料送迎バスを利用することになる。そうすれば予約制にしてあっても老人は朝いっときに押し寄せてくる。帰りの送迎バスが病院を出るのは午後1時ころである。それに間に合うように診察を終えカルテを精算所に出してから薬を貰わなければならない。そういう老人が時間に焦るのは無理からぬことかなという気がしたのである。

皆が早く来れば順番があとになる人はそれなりに待たねばならない。それでも予約制であとの時間に割り当てられるより早く終わるというのがご老人方の言い分かもしれない。無碍に予約制を主張するのは老人方には酷かもしれないということは分かった。でもまだ活発に動け時間が欲しい人には行き当たりばったりで診察を待つより予約制が助かる。病院にはもう一工夫してほしいと願うばかりである。

屋久島は交通機関が車しかない。定期バスでは30kmとか50kmとか離れたところから病院にいくとすれば多分片道2,000円近くかかる人もいるだろう。だから病院の無料送迎バスを利用する老人が多いのだと思われる。むかし住んでいたところでは定期バスの老人無料パスがあった。そういうものがあれば屋久島の1時間1本の定期バスでも通院時間の分散化が図れるのではないかと思われる。

老人だって待ち時間が少ないほうがよいし時間が選べるほうが本当は良いはずである。行政は福祉策として老人に無料通院バス券綴りを配ったらどうか。一回分が往きと帰りのセットになっていて帰りに病院の証明印を貰った券を運転手に渡すようにして、バス会社には出来高払いするのも一案である。交通福祉対策は必要な気がする。


補足: 送迎バスのこと (H14.11.21)

最近病院の送迎バスが日に2便になったようである。屋久町方面は早い便は栗生発着、遅い便は屋久島クリニックのある原発着である。


 
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