つまり針を挿入する必要が生じたとき失敗する率は半分くらいありそうだということである。私の今回の経験では看護婦さんは針を挿入してテープで固定して痛くないかたずねて何でもなさそうだとすぐ出て行く。そのあと点滴針挿入の問題がないか見に来ることはない。だから父のようにものを言えなかったり訴える行動を取れないものは誰かが気づくまでそのままで事故になる可能性がある。点滴は怖いというのが感想である。
看護婦さんはその仕事に一生懸命である。私の入院中それを疑う状況はなかった。だから点滴の針挿入成功率の低さや針挿入後のフォローがないことは多分病院の管理の問題ではないかと思われる。ちょっと例は飛躍しているが生産工程で半田付けを人手でする場合その精度が問題になる。半田付け基準を設け半田技能検定をパスしないと作業をさせないのが一般である。回路で半田付け不良は致命的だからそれだけの気を使うのである。それに似た管理体制がないのではないかという感想を持った。
院長回診というのがある。お供を引き連れて病室を回る。大勢のお供の前で前を広げて見せる。いやなものである。治療のためなら担当医や看護婦さんに頻繁にやってきてもらいたい。院長回診は治療というよりは管理体制のチェックのためにあるのではないか。いわゆる生産会社などでは安全管理者が安全パトロールをするのと同じ意味のほうが大きいのではないか。医療や看護の記録とか医療行為の練度や精度とか機器や薬品その他環境などの管理状況を見回り病院のレベル向上を図る改善につなげて欲しい。父の点滴の事故や私が点滴を受けた経験からそう思うのである。