屋久島生活の断片・偏見ご免のたわごと編
                     Home > 目次_top  >  記事

No.90 屋久島(48):点滴のこと H14.03.25)

先日2週間ばかり入院した。入院生活は看護婦さんたちの対応も気配りがあり総じて快適であった。しかし気になるところがなかったわけではない。病室にいての治療行為というとメインは点滴である。

かつて亡くなった父が入院していたとき脚から点滴していたことがある。見舞いに行くと脚が火傷のときのような水ぶくれのようになって太さが倍くらいになっている。父は半ボケで痛いと思われるのだが訴えることはしていなかったようである。私はすぐ看護婦さんに連絡して処置をしてもらったが、それ以降ひと月以上亡くなるまで脚のすねの片面が赤むけてぐちゅぐちゅのままだった。

そういう経験があるから点滴は気になる。点滴について今回の入院で記録をとってみた。2週間の入院で点滴時間はかなりあったが一回針をさすと継続してそれを使うこともあり私の場合針を挿入する必要回数は8回だった。それを成功させるために何回針をささなければいけなかったか、つまり針挿入の失敗はどれくらいの頻度か、それをみてみたのである。

針挿入必要回数 8回  
針挿入トライ総回数 12回  
針挿入失敗回数  5回  
内訳 2回目で成功 2回
  3回目で成功 1回 (失敗としては2回)
  液漏れのまま
点滴継続 
1回 (少量漏れのため痛さが小
    さかったがあとが内出血)

(失敗回数)/(必要回数)=5/8=63%

(失敗回数)/(総トライ数)=5/12=42%

つまり針を挿入する必要が生じたとき失敗する率は半分くらいありそうだということである。私の今回の経験では看護婦さんは針を挿入してテープで固定して痛くないかたずねて何でもなさそうだとすぐ出て行く。そのあと点滴針挿入の問題がないか見に来ることはない。だから父のようにものを言えなかったり訴える行動を取れないものは誰かが気づくまでそのままで事故になる可能性がある。点滴は怖いというのが感想である。

看護婦さんはその仕事に一生懸命である。私の入院中それを疑う状況はなかった。だから点滴の針挿入成功率の低さや針挿入後のフォローがないことは多分病院の管理の問題ではないかと思われる。ちょっと例は飛躍しているが生産工程で半田付けを人手でする場合その精度が問題になる。半田付け基準を設け半田技能検定をパスしないと作業をさせないのが一般である。回路で半田付け不良は致命的だからそれだけの気を使うのである。それに似た管理体制がないのではないかという感想を持った。

院長回診というのがある。お供を引き連れて病室を回る。大勢のお供の前で前を広げて見せる。いやなものである。治療のためなら担当医や看護婦さんに頻繁にやってきてもらいたい。院長回診は治療というよりは管理体制のチェックのためにあるのではないか。いわゆる生産会社などでは安全管理者が安全パトロールをするのと同じ意味のほうが大きいのではないか。医療や看護の記録とか医療行為の練度や精度とか機器や薬品その他環境などの管理状況を見回り病院のレベル向上を図る改善につなげて欲しい。父の点滴の事故や私が点滴を受けた経験からそう思うのである。


 
 Home   back