これは「屋久島生活の断片」: No.28(H12.11.12)「温泉ホテルのこと」の関連話しである。
私が国民宿舎・屋久島温泉ホテル建て替えの噂を聞いたと言って上記コラムを書いた。話しを耳にした実際の時期はその時点より以前、町議会(多分9月議会)が開かれている頃である。尾之間のGSでタイヤ交換中併設の喫茶店でサービスのコーヒーを飲んでいる時に、町議会議長が他の客らしき人と話していた。それを小耳に挟んだのである。
以来興味は持っていたが私は他の情報に接することはなかった。今年2月24日に旅館組合の建設反対のビラが配られた。ビラだけでは町の計画内容がよく分からなかったが4月1日旅館組合の代表者の建設反対HPを見る機会があった。そこで町の計画の大要もつかむことが出来た。以下建設反対HPを見ての感想である。
建設反対HPの反対理由は以下の様である。
1.情報公開無しにこういう計画がすすめられたのはよろしくない。
2.公的機関の宿泊施設の新築・増設は法で禁じられている。
3.建設計画、運営計画が杜撰で町の経営悪化の懸念がある。
4.屋久島宿泊施設の稼動率は今でも低いので計画では民間旅館業を圧迫する。
そして意見として以下のようなことも付記されている。
1.この反対運動は近々ある首長選挙とは関係ない。
2.宿泊業者も(一部だが)これ以上の宿泊容量アップを望んでいな い。自分たちもする気はない。自然保護と両立できる観光客受け入れ容量でよい。
3.登山道でのトイレの設置など環境対策に行政は力を入れるべきである。
4.宿泊業者も環境に配慮した施設・用品の採用を考慮したい。
5.代案としては温泉施設を要望。
HPへの反響意見は大方以下の様である。
1.子供たちへのつけを残すな。
(自然破壊および町経営の観点のもの)
2.自然破壊につながるものは許せない。
反対運動に対する町の反応
(多分反対運動が起こった後の旅館関係業者と町との話し合いでの)
・規模を現状なみに変更したいとのことのようである。
私の見るところ旅館組合が反対を始めた理由は民間圧迫は困るということに尽きると思う。住民として私は情報公開など行政手法に問題を感じる。また特に町の経営悪化懸念は住み心地に影響しそうで問題である。長く住みたいと移住して来た私にとってはこれ以上の住み心地の悪化は困る。そういう理由で現行計画に私は反対である。なんとなく4月7日NHKスペシャル「リゾート町長試練の冬」を他所事とは思えない。
しかしながら私はもし採算が合い合法的であれば今の温泉ホテルのあるところに、現状規模の質が向上したホテルが出来ても反対しない。現状規模なら屋久島の宿泊容量が増えるわけではない。また屋久島いわさきホテルが出来る前や近年のグリーンホテルの増築で反対運動があったという話は聞かない。宿泊容量面からの反対は理由として弱い。
HP反響で自然破壊懸念での反対意見があるが、今温泉ホテルがある尾之間の岬に現状と同じ規模のホテルが出来てなんで自然破壊につながるのか理解できない。HPの環境整備にこそ力を入れるべしなどの意見にミスリードされホテルが自然破壊をもたらすと勘違いしているように見える。核施設建設反対運動では旅館業の人やいろんな活動家が各戸を回り反対署名を集めたみたいだが今回なんの動きも見聞きしない。
屋久町にとってはかなりの問題だと思うが、
核施設建設反対の時のように町会議員の動きも見えない。6月、9月、12月の議会だよりにも出ていない。町広報にもでていない。いわんや町のHPはPR主体で情報公開にほど遠い。この辺にこそ本当の問題が潜んでいるのではないか。
今回の反対運動は住民の観点からの反対主張や運動展開が希薄なのが気に掛かる。なんとなく反対運動が旅館業者の都合のようで迫力がない。屋久島の政治構造や利権構造を私は知らないが建設反対HPで首長選挙に関係ないとわざわざ断っているところに真実があると勘ぐってしまいそうである。
補足: 投稿記事
温泉ホテル建て替え問題について掲示板に4月15日投稿がありました。その内容を以下に転載いたします。
国民宿舎屋久島温泉の建て替え問題 (by ほんや) (H13.04.15)
この建物も、私がすんでいた二十数年前は真新しい建物でした。当時国民宿舎は宮之浦にもあったんです。確か「国民宿舎屋久島荘」といったように思います。いつ頃なくなってしまったのかは定かではありませんが、たぶん「観光客の伸び悩み」のために、尾之間に一本化されたのだろうと思います。変われば変わるものですね。
この種の問題は、屋久島に住んでいない者がとやかくいうべきことではないと思いますが、かつての住民という立場でいわせてもらえるのなら、民業圧迫とか自然保護などを反対の論点としていますが、なんとなく、屋久町、上屋久町の確執がからんでいるような感じがします。
確認したわけではないので、不確かな推測ですが、反対運動の中心は上屋久町側にあるのではないでしょうか? 両町は、別に住民同士が反目している、なんてことはないのですが、行政レベルでは、昔からなんとなく張り合っているようなところが見られましたね。かつては、人口でも学校を始めとする文化施設でも屋久町は上屋久町に及ばなかったのですが、最近は移住者数の増加や観光客の拠点が屋久町にシフトしていますね。この状況で、国民宿舎屋久島温泉がリニューアルすれば、ますます水をあけられるという思いが、上屋久町側にあるのではないでしょうか。コラムにかかれていたとおり、現状規模の建替えにまで反対する本当の理由は、そこにあるのだろうと思います。
補足: JR九州のリゾートホテルのこと (H16.11.26)