屋久島生活の断片・偏見ご免のたわごと編
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No.34  屋久島(23):プロジェクトXのこと (H13.01.08)

今年もらった年賀状に昨年NHKで放送したプロジェクトの屋久島の原生林を守ったという話について見たよと伝えてくるものがあった。

屋久島の実際を知らない人があの番組を見て、本当にあれがプロジェクトだと思ったら誰かの思惑が当たったと言うべきか。私の見ての印象は、ネタに困ったNHKが鹿児島のどこかに何かよいネタはないかと物色したときに、屋久島あるいは主人公の宣伝をしようともくろんだ者がこの話を売りこみ、それにNHKが乗せられてしまったというものである。

話は、かつて屋久島の森の喪失を危惧した二人の男が森林伐採を止めるべしとの活動を開始した。一人の奥さんは今ではあんまりよい評判は聞かないが二人の尻をひっぱたきながらその活動を助けたという美談仕立てになっている。

そしてその活動はほどなく成果なく休眠状態となった。その後の実際は後年大きな台風が屋久島を襲い森林伐採の影響で土砂災害などが発生したことから、島内に森林伐採見なおしの動きが沸き起こり、その結果が原生林保護の決定につながった。それが番組の伝えるところで、なにがプロジェクトなのという印象であった。

そこにはプロジェクトと呼べる強固な意思と絶え間ない努力が認められない。番組のあの二人の男がプロジェクトリーダーであったとも思えない。局面局面で寄与した人はいろいろいたことは確かだが災害がきっかけでなるべくしてなった。番組のなかの事実らしいところを拾ってみればそうとしか思えない。

なんだか手塚治虫がむかし鉄腕アトムを描いたが、21世紀のいつか鉄腕アトムのようなロボットが世にでた時に、TVが手塚治虫のプロジェクトが完成したと言っているような違和感を覚えてしまった。

近隣の人に聞いてみてもあんな話があったのという感じで、件の二人を評価している人には出会わなかった。私が住んでいるのは屋久町で主人公の二人は上屋久町の住人だからと思わぬでもないが、番組では屋久町の安房の災害状況も出ていたくらいだから屋久町の人も絡んでいたはずで、それでも二人の活動の賜物という評価が残っていないというのが本当のところかもしれない。


 
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