屋久島生活の断片・偏見ご免のたわごと編
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No.12  屋久島(10):核施設反対署名のこと (H12.08.15)

今年の春、種子島あたりに核貯蔵施設を作る動きがあるということで反対組織の人が署名の依頼にきた。当時班長をやっていたので、班を回って署名を集めよと問答無用のような言い方である。妻が不本意ながら書類を受け取ってしまった。後刻妻と私は話し合い、自分たちだけ署名して一件書類は返すことにした。

妻が返しに行った。班長業務と思えぬし自分たちが活動するには理解不足なので自分たちの署名のみで返す旨伝えた。本人がおらず奥さんが応対してくれたそうだが書類を見れば解るでしょうにとの反応だった。

私たちの考えでは活動するのなら活動の理解が不可欠である。活動家はその活動を展開するために多大の時間をかけて打ち合わせなどをしそれなりの情報を得、状況の理解を深めたと思われる。活動をさせるなら仲間レベルの情報を知らせてもらいたい。それで判断したい。はじめの段階で仲間でもないのに号令をかけられる筋合いはない。

だから自分の署名だけにした。なぜ私が署名したか。近隣に危なそうなものがあるのはいやだ。いやだと言ってそれが通るならそれもよいから。またどこかが金を使っていろいろ世論工作をし地元から立地要請をさせようとしているらしいとのうわさがある。このやり方が好きでないから。

核施設そのものの是非は今私は論じたくない。原子力発電無くして日本が成り立つのかどうかの知識や見通しに暗いからである。

真正面から取り組み検討した結果、原子力発電はこういう理由で避けるべからざるものであり、こういう理由で施設をここにこういう方法で設置するのが今の最善案であると正攻法で提案されれば国民は受け入れるのではないか。すくなくとも私はそうだ。

人が便利なものを発明すればそれが人の安全を脅かす。限定的な危険はある程度許容すべきだろう。でもそんなもんだと核については言えそうもない。それなら電気を少ししか使わない生活をして新エネルギー源の出現を待つか。万が一のときは全滅覚悟か。今の世界は全滅前に新エネルギーが出現することを前提として活動している。

ところでかなり昔の会社勤めの時代のことである。南極越冬などで有名なN氏の小講演会があった。はっきり憶えていないがいろいろな経験の裏話を通して発想法や問題解決の知恵についての講演だったと思う。その中で印象に残っていることが有る。

原子力船「むつ」の母港問題である。漁業関係者などが反対しなかなか決まらなかったが、一升瓶を下げて連日それらの人たちを訪ね話し合って理解してもらい地元受け入れにこぎつけたと言う話である。理屈じゃない、人間の信頼関係だ、酒を一緒に飲んで気心が通じたからだと言う。

私の父は青森県のあるところの出身である。私も疎開後小学校の半ばまでそこで過ごした。だから青森の人間が酒で転んだように言われちょっとカチンときた。質問の時感情の取り扱いが上手いようだがその考え方について話してくれといった。N氏は怒り、会社側はそそくさと閉会にしてしまった。

N氏が言いたい趣旨はわかっているつもりである。誠意を持って説得するそのやり方は人それぞれである。だが時がたってそれを自慢げに酒で転んだがごときような表現で面白おかしく言うのはよろしくない。

核施設について今後どう進展するにしても、反対する人も、賛成する人も、後で面白半分に酒で転んだと言われぬようにきちんとした姿勢をして欲しいものである。
 

補足: 遺恨があるように思えること  [2011(H23).01.18]

ここ何年か定かでないが、犬の散歩の途中で出会う女性がいる。その人も犬の散歩中である。こんにちはと挨拶するのだがときたまいやいやながら会釈することもあるがほとんどの場合無表情で挨拶を返してこない。大分お年のようだったから老人性の鬱病みたいな感じがしていたのだが、他の犬の散歩仲間の人と一緒のときに出くわしたら、私と妻を無視しながらその散歩仲間の人とは普通に会話をしている。

あとで妻にあの人以前からおかしいと思っていたのだが私たちを嫌っていて無視しているみたいと言ったら、妻が言うには思い当たることが一つあるとのことである。本文にある署名書類を「妻が返しに行った。班長業務と思えぬし自分たちが活動するには理解不足なので自分たちの署名のみで返す旨伝えた。本人がおらず奥さんが応対してくれたそうだが書類を見れば解るでしょうにとの反応だった。 」とあるところのその奥さんだそうである。

妻が返しに行ったときかなり物分りが悪いようなことを言われ翻意を促されたが、それでも応じなかったので不興を買ったと思われる。それが尾を引いているのではないかということである。個人活動家が集落組織の班長を指揮して署名を集めさせようというのは筋が通らないという私たちの主張が正しいことは分かっているから、表立って自分たちの意向に逆らったものを攻撃することも出来ない。そしてそういう分かりきったことで引け目を味わわせられたのが悔しい。それで無視を決め込んでいるということかもしれない。

その女性・奥さんと妻が話したのは書類を返しに行ったときの一回だけということだし、私は一回も話したことはない。だからその見方は当たっている可能性が高いとおもわれる。


 
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